地方鉄道における存廃議論の過程において市民による存続運動が展開される例は少なくなく,実際に存続が決まったいくつかの鉄道においては,市民組織などが大きな役割を果たしたと考えられる例がみられる.本研究では福井県のえちぜん鉄道を対象として,「乗って残そう」などの利用促進活動とは異なる,研究者・マスコミ・地方議員なども参画する新しいタイプの市民組織による活動に着目し,それらが合意形成過程において果たした役割を明らかにする.本研究で対象とする市民組織は一般市民としての立場に留まらず,鉄道の公的価値の評価に関する学術的・科学的視点からの分析・啓発や,マスコミ・地方議員も巻き込んだ合意形成活動などを含むものであり,従来は研究対象として取り上げられることも行政等の公式記録などに残ることもなかったものである.
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