幼児・児童の親子を対象とした映像表現ワークショップの参加者の体験について,関与観察とエピソード記述による考察を試みた。感性的コミュニケーションによる情動のvitality affectが身体と心を突き動かす相互浸透的な変容体験が見出された。さらにコーディングによる分析との比較考察から,主観性・間主観性に根ざしたエピソード記述による体験理解が十分な明証性を持つことが示された。主観性や間主観性を手放さず,生活世界の生の接面を捉え表現する接面パラダイムに根ざした実践研究理論の構築には,臨床実践を対象とする芸術教育などの人文科学にとって大きな可能性を持つものであることが示唆された。
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