縫合は組織を縫い合わせる手術における基本的な動作である.しかし,回転中心が縫合針の中心と一致する適切な運針を行わなければ,組織を損傷してしまうなどの課題がある.運針の適切さを評価するためには,運針時の力や
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を計測する必要がある.そこで本研究では3軸力と
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が計測可能な鉗子型デバイスを試作し,評価を行った.鉗子型デバイスは3軸力センサ,
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センサ,鉗子先端部,シャフト部,持ち手部で構成した.
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センサはひずみゲージとシリコーンゴムを用いて試作し,
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が加わった時のシリコーンゴムのひずみをひずみゲージにより計測した.この
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センサを1自由度の回り対偶となるようにデバイスに配置し,3軸方向の力と
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を分離して計測した.感度計測実験の結果,
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センサの感度は73.0 mV/Nmとなった.試作したデバイスを用いて運針の回転中心をずらしながら力と
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を計測した結果,適切な運針時にX軸方向に0.08 N以上の力の増加を確認した.また,回転中心がずれた運針時にZ軸方向に0.54 N以上の力と0.50 Nm以上の
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の増加を確認した.以上より,本デバイスを用いて運針の回転中心のずれによる力と
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の変化を確認した.
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