リョクトウの生育および養分吸収特性を明らかにするためにポット栽培したリョクトウの生育に伴う養分吸収量と植物体内における分布状況を経時的に調査した.
1. リョクトウ植物体の乾物重は第1回目の開花にもとづく着莢が完熟する播種後87日までは急激に増加するが, 着莢後約10日間はやや増加速度が低下する傾向が見られた.
2. リョクトウによる養分吸収量は窒素, カリウム, カルシウム, マグネシウム, リンの順に多かった.
3. リョクトウによる養分吸収パターンは生育時期により著しく変動し, 養分吸収量の著しく高まる時期が栄養生長期に1~2回, 生殖生長期に1回存在し, とくに, 上記のパターンは窒素, カリウム, カルシウムにおいて明確に認められた.
4. 植物体各部位における養分含量は生育段階によって著しく変動するが, 完熟した子実の窒素やリン含量は他の部位に比べて著しく高く, これに対してカルシウムやマグネシウム含量は著しく低かった.
5. 植物体に吸収された養分の子実への移行率は養分により著しく異なり, 窒素 (38.9%) , リン (37.5%) >カリウム (17.8%) , マグネシウム (16.8%) >カルシウム (3.9%) の順に高かった.また, 植物体乾物重に対する子実重の比率で示される子実生産効率は24%であった.
6. 上記の結果にもとついて, リョクトウ子実の単位収量を得るために必要な養分吸収量が算出され, さらに施肥についても論議された.
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