この論考においては,ウィキペディアにおいて女性科学者の人物記事が比較的冷遇されてきた経過と,それに対して現在行われている対策を検討し,今後の改善のための方策を指摘する。ウィキペディアに存在するジェンダーバイアスについては,既にさまざまなところで指摘がなされおり,女性科学者に関する人物記事についてもその貧弱さが指摘されてきた。本論では女性科学者に対するウィキペディアのバイアスの例としてよく知られているマリ・キュリー,スミソニアンアーカイヴズでのエディタソン,ドナ・ストリックランド,ケイティ・バウマンの記事をめぐる議論を検討した後,ジェンダーバイアス改善のための対策を示唆する。
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