我々は動物医療に現代西洋医学と補完代替医療双方の良い部分を駆使し、動物にとって最良のチーム医療となりうる統合医療を取り入れてきた。統合医療では、病気の予知・予防や健康維持に力を入れ、罹患した場合には全体を診て自然治癒力を促す事を目標に、検査データも考慮しながら栄養療法、食事療法、温灸、マッサージを中心に行っている。近年、飼い主の動物医療への関心の増加、動物および飼い主の高齢化、ライフスタイルの複雑化に伴い、在宅看護の必要性と重要性も増してきた。アンケートによる飼い主の在宅での看護やターミナルケアへの関心度を参考に、啓蒙活動と個別指導に統合医療を導入することで、動物医療に動物看護師自らが関われる仕事の範囲も広がった。本稿は飼い主の要望に沿い、動物にも負担の少ない我々の在宅看護の実例からその有用性を報告し、看護行為と医療行為の法的な範囲の確立を提案するものである。
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