40歳女性.過多月経にて全身麻酔下に全腹腔鏡下子宮全摘+両側卵管切除術の翌日から両頬に小膿疱,鱗屑を伴う紅斑が生じ瘙痒があり,両頬の鱗屑の直接鏡検にて1視野に10匹以上の
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を認めた.ドキシサイクリン100 mg/日,イベルメクチン9 mg内服など酒皶に準じて治療したが改善なく,メトロニダゾール内服20日で改善が見られた.本例は
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により惹起される皮膚病変のうち pityriasis folliculorumに合致すると考えた.
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の皮膚の病原性については今も議論があるが,pityriasis folliculorumは
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の免疫調整作用の1表現型と推測される.酒皶様皮膚炎や尋常性痤瘡との鑑別疾患として
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症は考慮すべきであり,直接鏡検にて
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を多数確認した場合は,酒皶に準じる治療とともに少なくともステロイド外用薬による治療は控えるべきと考える.ヒト常在微生物の
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について,その病態や治療法,疫学の解明には採取法や評価法を標準化した研究を通して,今後議論をしていく必要があると考えた.
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