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クエリ検索: "ニホンジカ"
2,459件中 1-20の結果を表示しています
  • *相川 拓也, 堀野 眞一, 市原 優
    日本森林学会大会発表データベース
    2016年 127 巻 K10
    発行日: 2016/07/08
    公開日: 2016/07/19
    会議録・要旨集 フリー
    日本では野生動物による森林被害の約70%が
    ニホンジカ
    によるとされている。近年、
    ニホンジカ
    はこれまでほとんど生息が確認されていなかった東北地方北部にも出没するようになり、今後の被害拡大が懸念されている。
    ニホンジカ
    の被害対策を講じる上で、
    ニホンジカ
    の生息域や生息密度を把握することは不可欠である。その調査方法の一つに、
    ニホンジカ
    の糞を利用する方法がある。ところが、
    ニホンジカ
    の糞はカモシカの糞と見た目では区別できないため、東北地方のようにカモシカが多く生息している地域では
    ニホンジカ
    の生息状況を精確に把握することは難しかった。演者らはLAMP法という新しいDNA増幅技術を用いて、
    ニホンジカ
    とカモシカの両種の糞を簡単・迅速かつ明確に識別できる方法を開発した。この方法を用いれば、両種が混在している地域においても、容易に
    ニホンジカ
    の糞を識別することができる。また、逆に、カモシカの糞も精確に区別できることから、
    ニホンジカ
    だけでなくカモシカの生息調査にも活用できる。今回はその識別法の特徴について解説する。
  • 角田 裕志, 和田 敏, 安藤 正規
    野生生物と社会
    2017年 4 巻 2 号 39-46
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/06/17
    ジャーナル フリー

     It is concerned that intensive browsing by sika deer (Cervus nippon) has caused declines and disappearances of vegetations in forest floor, resulting in degradations of forest ecosystems across Japan. To determine the effects of deer browsing on forest ecosystems in Gifu Prefecture, we surveyed the decline of understory vegetation in deciduous hardwood forests in 376 forest stands using the shrub-layer decline rank (SDR), which was assessed by combining the coverage of the shrub-layer vegetation and the presence of signs of browsing by sika deer in each forest stand. We found that remarkable declines of vegetations (i.e., shrub-layer vegetation coverage was less than 38%) due to deer browsing were observed in 31.1% of the surveyed stands. We then estimated the spatial distribution of SDR in deciduous hardwood forests, based on sampled data, using a spatial interpolation method in the Geographic Information System. The results of the spatial estimation indicated that remarkable vegetation declines due to deer browsing could be occurred in 22.2% of the forests (1,133.5 km2), mainly distributed western and central areas of the prefecture. Moreover, our findings indicated that effects of deer browsing on forest ecosystem have started to expand northward and eastward of the prefecture. For conservation of forest ecosystem, we suggest reinforcing sika deer culling in the northern and eastern areas of Gifu Prefecture, where numbers of deer caught were relatively smaller than those in the western and central areas.

  • *小山 泰弘, 柳澤 賢一, 二本松 裕太, 三澤 美菜, 鈴木 智之, 西村 尚之
    日本森林学会大会発表データベース
    2023年 134 巻 P-384
    発行日: 2023/05/30
    公開日: 2023/05/30
    会議録・要旨集 フリー

     長野県中部の北八ヶ岳麦草峠周辺に、センサーカメラを設置して

    ニホンジカ
    の出現状況を調査するとともに、カメラ周辺の立木被害と林床植生との関係を解析した。2019年7月から2022年6月までの3年間の調査で、麦草峠周辺では着葉期の6~10月はほぼ毎日
    ニホンジカ
    が確認できたが、冬期は
    ニホンジカ
    が確認できなかった。着葉期における
    ニホンジカ
    の出現状況と下層植生との関係を調べたところ、林床草本の植被率が高いところで
    ニホンジカ
    の出現率が高く、中でもササ地でより出現率が高い傾向が確認された。一方、北八ヶ岳を代表するコケ型林床の場所では出現率が低かった。とはいえ、
    ニホンジカの出現率とニホンジカ
    による剥皮害の発生割合には関係がみられなかった。
    ニホンジカ
    の剥皮害を分析すると、剥皮されたばかりの新鮮な被害は少なく、カメラの解析でも立木剥皮とみられる写真は1枚にとどまり、過去の被害によると判断できた。これらの結果から、過去には全域で確認できた
    ニホンジカ
    が特定環境にのみで棲息するように変化したものと推定できた。

  • 林 晋平, 陶山 大志, 山中 啓介
    森林応用研究
    2016年 25 巻 1 号 1-5
    発行日: 2016/02/29
    公開日: 2021/07/07
    ジャーナル フリー

    2013 12 月,

    ニホンジカ
    の生息する出雲北山山地内の松くい虫被害木伐採跡地で,当該地域に自生する樹種アカマツ,アブラギリ,エゴノキ,シロダモ,センダン,タブノキを植栽し,
    ニホンジカ
    の採食圧調査を
    2014 5 月~12 月まで実施した。その結果,アカマツは強い食害を受けなかったものの,新芽の食圧が高く伸長生長に影響すると思われた。アブラギリは全く食害を受けなかったが,活着率が50%と低く植栽場所を検討する必要があった。エゴノキは枯死率が低かったものの,採食圧が高く今後の生長は期待できなかった。シロダモは採食圧が低く,活着も良好であり最も植栽木に適していると推察された。センダン,タブノキは幹まで採食されるか、枯死するものがほとんどであり,植栽には適さなかった。
    ニホンジカ
    生息地においてシカ柵やツリーシェルターを使わずに早期に森林再生を行う場合は,不嗜好性,活着および森林の多様性を総合的に考慮し,アカマツ,アブラギリ,シロダモなどを混植することが望ましいと考えられる。

  • *飯島 勇人, 長池 卓男
    日本森林学会大会発表データベース
    2013年 124 巻 P1-119
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/20
    会議録・要旨集 フリー
    近年、
    ニホンジカ
    が個体数を増加させている。それに伴い、
    ニホンジカ
    による植生の摂食圧が高まり、植栽木にも深刻な被害が出ている。効率的に
    ニホンジカ
    による摂食を防止するためには、
    ニホンジカ
    による摂食リスクを定量的に評価し、優先度を付けた対策を実施する必要がある。本研究では、広葉樹植栽地を対象とし、
    ニホンジカ
    密度、防除方法(防鹿柵とそれ以外)、植栽後経過年数が植栽木の生残に与える影響について検討した。山梨県内の過去6年以内に植栽された広葉樹造林地を対象に、各調査地で100個体の植栽木の生残、樹高を調査した。また、山梨県内で収集されている
    ニホンジカ
    密度指標に一般化状態空間モデルを適用し、植栽地周辺の
    ニホンジカ
    密度を推定した。植栽木の生残は、推定した
    ニホンジカ
    密度が高く、防鹿柵以外の防除方法であり、植栽後年数が経過しているほど低かった。防鹿柵以外の防除方法で平均的な植栽年が経過している場合、
    ニホンジカ
    密度が11.2頭/km2での植栽木の生残率は50%と推定され、21.7頭/km2での植栽木の生残率は10%と推定された。今後は、周辺環境や植栽樹種が植栽木の生残に与える影響を明らかにする必要がある。
  • 福井 えみ子, 名取 美貴, 佐藤 衆介, 小金澤 正昭, 松本 浩道, 吉澤 緑
    日本鹿研究
    2013年 2013 巻 1 号 10-14
    発行日: 2013年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル フリー
    本研究では、東北大学大学院農学研究科附属複合生態フィールド教育研究センター(川渡フ ィールドセンター)にて飼養されている
    ニホンジカ
    ミトコンドリアDNA D ループ(mitochondorial DNA control region:mtDNA D-loop)領域の塩基配列を決定し、集団内の遺伝的特徴を明らかにすることを目的とした。川渡で飼養されていた
    ニホンジカ
    5 頭および比較対照として栃木県に生息する野生
    ニホンジカ
    (Cervus nippon)16 頭を用いた。DNAを抽出し、PCR 法によりmtDNA D-loop 領域の増幅を行い、ダイレクトシーケンス法により塩基配列を決定した。その結果、川渡の5 頭の
    ニホンジカ
    の塩基配列は全て一致し(川渡1)、この総塩基長は1112 塩基対であり、栃木の16 頭の
    ニホンジカ
    の塩基配列は全て一致し(栃木1)、この総塩基長は1073 塩基対であった。本研究結果より、川渡1 と栃木1 との相同 性は989 %であり、これまでの報告との比較から、川渡の
    ニホンジカ
    は、五葉山の野生
    ニホンジカ
    と最も高い相同性を示す事が明らかとなった。
  • 永田 幸志
    木材保存
    2023年 49 巻 1 号 18-22
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/04/01
    ジャーナル オープンアクセス
  • *永井 真紀子, 小池 文人
    日本生態学会大会講演要旨集
    2005年 ESJ52 巻 E207
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/03/17
    会議録・要旨集 フリー
    日本全国の野外における,既存の
    ニホンジカ
    食痕データを使用し,
    ニホンジカ
    (Cervus nippon)が採食する植物の属レベルで,嗜好性を定量化した.
     多くの入れ替わりはあるが,およその傾向は高茎草本,低木と萌芽,ササ,樹皮の順となる.ある地域に
    ニホンジカ
    が侵入した場合は,この順番に消費されてゆくと予想される. また,
    ニホンジカ
    の採食植物の嗜好性レベルの夏と冬の差は,冷温帯では暖温帯より大きい傾向があった.今後,データが増えるに従い,植物の種レベルでの定量化や,地域による嗜好性の差の検討も可能となる.
  • *飯島 勇人, 長池 卓男
    日本森林学会大会発表データベース
    2016年 127 巻 T1-11
    発行日: 2016/07/08
    公開日: 2016/07/19
    会議録・要旨集 フリー
    近年、
    ニホンジカ
    密度が日本各地で増加し、植栽木に対する摂食圧が深刻化している。植栽木に対する摂食の防除方法として忌避剤や柵の設置が挙げられるが、柵は忌避剤よりも設置費用が高いため、摂食リスクに応じて防除方法を選択する必要がある。本研究は、
    ニホンジカ
    密度と防除方法による防除効果の違いを明らかにすることを目的とした。山梨県内の様々な
    ニホンジカ
    密度下の広葉樹植栽地において、植栽木の生残を調査した。その結果、
    ニホンジカ
    密度が20頭/km2以下では忌避剤でも
    ニホンジカ
    による植栽木の摂食を防ぐことができたが、それ以上の密度では激しい摂食を受けていた。広葉樹の植栽木を
    ニホンジカ
    の摂食から効率的に防除するためには、植栽地のシカ密度を把握し、密度に応じて防除方法を選択する必要がある。
  • 釜田 淳志, 安藤 正規, 柴田 叡弌
    日本森林学会誌
    2008年 90 巻 3 号 174-181
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/12/09
    ジャーナル フリー
    高密度に生息する
    ニホンジカ
    による樹木剥皮が森林衰退の大きな原因となっている大台ヶ原において,植生の異なる東大台地域と西大台地域における剥皮害の地域的分布の違いおよびその要因を明らかにすることを目的とし,樹木剥皮の程度,
    ニホンジカ
    による樹種選択性,シカの選好性が認められた樹木の分布状況および
    ニホンジカ
    の土地利用頻度に関する調査を行った。その結果,針葉樹ではウラジロモミ,トウヒ,ヒノキ,広葉樹ではヒメシャラ,リョウブ,コバノトネリコが
    ニホンジカ
    によって選択的に剥皮を受けていることが明らかになった。この6種を
    ニホンジカ
    による選好性樹木と定義し,東大台と西大台間で選好性樹木における剥皮強度を比較した。その結果,西大台よりも東大台で,樹木剥皮が激しいことが明らかになった。また,東西で
    ニホンジカの樹種選択性およびニホンジカ
    の選好性樹木であるウラジロモミ,ヒノキおよびリョウブの分布状況はほぼ同一であった。一方,
    ニホンジカ
    の生息密度を反映する土地利用頻度は西大台よりも東大台で有意に高かった。以上のことから,
    ニホンジカ
    の土地利用頻度が高いため,東大台で剥皮害が激しいと考えられた。またその背景には,
    ニホンジカ
    が主要な餌としているミヤコザサの存在が関係していることが示唆された。
  • 永田 幸志, 岩岡 理樹
    哺乳類科学
    2017年 57 巻 2 号 355-360
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/02/01
    ジャーナル フリー

    丹沢山地の札掛地区(神奈川県愛甲郡清川村)において,継続的に実施されている

    ニホンジカ
    Cervus nippon)の生息密度調査の長期データを用いて,生息密度の経年変化と捕獲との関係を検討した.調査は,毎年冬期(12月)と春期(4月)に区画法により実施した.既報の2002年12月から2007年4月までのデータに,あらたに2007年12月から2015年4月までの調査結果を加え,連続する13年間について分析を行った.神奈川県の丹沢山地では2003年度から
    ニホンジカ
    管理計画に基づく管理捕獲等の事業が実施されているが,本調査地においては2007年度以降に同管理捕獲が実施された.冬期,春期ともに,捕獲実施後の生息密度の平均値(冬期6.5頭/km2,春期3.3頭/km2)は,捕獲実施前の生息密度の平均値(冬期15.2頭/km2,春期11.0頭/km2)と比べて有意に低く,管理捕獲により,調査地に生息する
    ニホンジカ
    の個体数が減少したことが示唆された.

  • 金城 芳典
    四国自然史科学研究
    2017年 10 巻 36-37
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/06/01
    ジャーナル オープンアクセス
  • 池田 敬
    野生生物と社会
    2023年 11 巻 79-85
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/09
    ジャーナル フリー

     Sika deer populations must be reduced to control their distribution expansion and decrease damage to agricultural crops and ecosystems. However, due to aging hunters, wildlife managers need to capture deer efficiently. Considering these aspects, capture by feeding has been proposed, but there is no information on the attractiveness of mineral salts to male or female deer. Therefore, we conducted feeding experiments from May to September 2019 to evaluate the attractiveness of mineral salt based on sex. Our results showed that the feeding frequency of mineral salts was higher than that of the other three baits, and the feeding frequency in female deer was higher than that in males. By contrast, we found no differences in the staying time of mineral salts between male and female deer, and the feeding frequency of mineral salts for males increased with time from the start of the attraction. Therefore, mineral salts may sufficiently attract male and female deer, especially during the initial phase of attraction, and may selectively attract females later. To efficiently attract females using mineral salts, it is necessary to know the herd composition in the target area and verify their attractiveness of mineral salts.

  • 永田 幸志, 岩岡 理樹
    哺乳類科学
    2011年 51 巻 1 号 53-58
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/07/27
    ジャーナル フリー
    本研究は,丹沢山地における
    ニホンジカ
    の生息密度の経年的変化と季節的変化について明らかにすることを目的として行った.調査地は神奈川県愛甲郡清川村札掛地区で,1998年12月~2007年4月まで,毎年冬期(12月)と春期(3月下旬から4月上旬)に区画法により生息密度調査を行った.調査地内では,1998年から2001年には,12月から翌年の4月または5月まで継続的な人工給餌が行われた.冬期,春期共に,生息密度は比較的高密度で安定しており,経年的な変化に増減の傾向は見られなかった.また,給餌未実施期間は,毎年,冬期に比べて翌年の春期の生息密度が低くなる傾向が見られた.札掛地区を含む丹沢山地のシイ・カシ帯では,食物条件の悪化が指摘されているが,主に落葉採食等の食性の変化や,豪雪等がなかったことを理由として,比較的高い生息密度が維持されたと考えられた.また,生息密度の季節的変化には,狩猟の影響による可猟域から鳥獣保護区へのシカの移動と,冬期から春期にかけての死亡個体の増加が影響したと考えられた.
  • 福井 えみ子, 丹治 藤治, 小金澤 正昭, 吉澤 緑, 松本 浩道
    日本鹿研究
    2012年 2012 巻 1 号 1-5
    発行日: 2012年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル フリー
    大分県杵築市山香町において捕獲された分枝のない大きな角を持つ
    ニホンジカ
    の分子遺伝学的特徴を明らかにすることを目的とした。まず、DNAを抽出し、ミトコンドリアDNA のコントロール領域およびチトクロームb領域をPCRで増幅後、シークエンス解析により塩基配列を明らかにした。得られた塩基配列を用いて、既に報告されている
    ニホンジカ
    の亜種であるエゾジカ、ホンシュウジカ、キュウシュウジカおよび中国の
    ニホンジカ
    のものと比較した。その結果、キュウシュウジカと最も高い相同性を示したことから、分枝のない角を持つ
    ニホンジカは日本在来のニホンジカ
    であり、環境や突然変異などの影響によりこのような角の形態的変異を獲得したと考えられた。
  • *小池 伸介, 飯田 泰地, 曽我 昌史
    日本森林学会大会発表データベース
    2014年 125 巻 P2-202
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/07/16
    会議録・要旨集 フリー
    ニホンジカ
    の急激な増加は植生だけに限らず、間接的にさまざまな動物種群の生息にも影響を与えている。本研究では
    ニホンジカ
    の生息密度が大きく異なる、近接する調査地間において、食糞性および地表徘徊性甲虫類群集の生息状況を比較することで、これらの種群に
    ニホンジカ
    が与える影響を考察する。調査地は
    ニホンジカ
    が高密度に生息する北海道洞爺湖に浮かぶ中島および、
    ニホンジカ
    が低密度に生息する洞爺湖周辺の2か所である。両調査地でピットホールトラップを用いてこれらの種群の採取を試みた。その結果、地表徘徊性甲虫類では、種数では中島、個体数では湖周辺で有意に多く確認された。一方、食糞性甲虫類では個体数でのみ中島で有意に多く確認された。個体数に関して、2種群間で異なった傾向が確認された要因として、
    ニホンジカ
    が高密度に生息する中島には食糞性甲虫類の食物資源量が多く存在するため、生息に適した環境となっている可能性が考えられる。一方、
    ニホンジカ
    による草本・落葉の採食や踏みつけが発生することで、林床環境が地表徘徊性甲虫類の生息には適さない状態である可能性が示唆される。
  • 日野 輝明, 古澤 仁美, 伊藤 宏樹, 上田 明良, 高畑 義啓, 伊藤 雅道
    保全生態学研究
    2003年 8 巻 2 号 145-158
    発行日: 2003/12/30
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル オープンアクセス
    大台ヶ原は, 西日本で最大級の原生的な自然林であるが, 近年,更新の阻害や立ち枯れによって, 森林の衰退が著しく, その存続が危ぶまれている. この地域は, 環境省による自然再生事業の対象地として, 森林環境で最初に指定された. 私たちは, 大台が原を構成する3つの主要群落のうちの一つ, ブナ(Fagus crenata Blume)ーウラジロモミ(Abies homolepis Sieb. et Zucc.)ーミヤコザサ(Sasa nippona Makino et Shibata)群落において,
    ニホンジカ
    ,野ネズミ,ミヤコザサ, 鳥の複合的な実験処理区を設け, 森林下層部の植物群落, 無脊椎動物群集, 土壌などの構造と性質の年変化や季節変化についての定量的なモニタリング調査を, 1997年から行ってきている.また,
    ニホンジカ
    の密度の違いによる植生と鳥群集の比較調査を行っている.
    ニホンジカ
    の個体数とミヤコザサの地上部現存量は,現在,需給の釣り合いによって, 平衡状態にあると考えられた. ところが,
    ニホンジカ
    の除去区では,ミ ヤコザサの地上部現存量はその生産力の高さによって,わずか5年間で最大値にまで回復した.
    ニホンジカ
    によって食べられなかったミヤコザサはリターとして,
    ニホンジカ
    によって食べられたミヤコザサは死体や糞尿として土壌にかえり, それが養分として, 再びミヤコザサに吸収される. この
    ニホンジカ
    ーミヤコザサー土壌の各要素間の窒素循環の動態についてシステムダイナミクス・モデルを作成した. さらに, このモデルをベースに,
    ニホンジカ
    個体数増加と, それにともなうミヤコザサ現存量の減少や枯死木の増加が,樹木実生, 鳥類, 地表節足動物, 土壌動物の個体数や多様性に及ぼす影響を組みこんだ. シカ密度あるいはミヤコザサ現存量の影響は,生物群によってさまざまに異なっており, すべての生物群にとって好ましい
    ニホンジカ
    密度やミヤコザサ現存量は存在しなかった. 樹木の枯死の減少と天然更新の増加によって森林の再生が最も促進される管理手法を検討した結果, シカの個体数調整と同時に, その主要な餌であるミヤコザサの現存量を減らす必要があることが分かった. 本モデルの予想を応用して, 他の群落も含めた大台ヶ原全体の自然再生についていくつかの提案を行った.
  • 佐藤 宏明, 神田 奈美, 古澤 仁美, 横田 岳人, 柴田 叡弌
    保全生態学研究
    2005年 10 巻 2 号 185-194
    発行日: 2005/12/25
    公開日: 2018/02/09
    ジャーナル オープンアクセス
    糞粒法によって
    ニホンジカ
    の生息密度を推定するためには,単位面積当たりの糞粒数を測定する他に,1頭1日当たりの排糞回数と排糞粒数,および糞粒消失速度を知る必要がある.しかし,これらの値は地域や植生,季節で異なるにもかかわらず,労力上の問題から他地域で得られた値で代用されている.そこで本研究では奈良県大台ヶ原にて糞粒法による信頼度の高い生息密度推定値を得ることを目指し,2001年5月から11月までの月1回,1頭1回当たりの排糞粒数を調査するとともに,原生林,ササ草地,移行帯の三植生で糞粒消失速度を測定した.原生林とササ草地では固定区画を設定し,月毎の加入糞粒数を数えた.以上の測定値と既存の1頭1日当たりの排糞回数を用いて原生林とササ草地における生息密度を推定した.さらに,糞粒消失速度と気温,降水量,糞虫量との関係も調べた.その結果,糞粒消失速度は植生と季節で大きく異なり,気温,降水量,糞虫量とは無関係であった.これまで報告されている視認にもとづく区画法による生息密度推定値と比較したところ,糞粒法による推定値は過大であり,また植生と季節によっても大きく変動していた.これらの結果をもとに糞粒法による生息密度推定の問題点を検討し,大台ヶ原におけるシカの個体数管理のための望ましい生息数調査法を提案した.
  • 人と自然
    2011年 22 巻 27-32
    発行日: 2011年
    公開日: 2019/01/26
    ジャーナル フリー
    兵庫県の淡路島南西部に位置する三原川水系の上流域では,河川植生が
    ニホンジカ
    の食害を強く受け,河道内の裸地化が進んでいる.裸地化が進行する中で,
    ニホンジカ
    の食害を受けずに成立した4 群落が確認された(ナルトサワギク群落,ハスノハカズラ群落,レモンエゴマ群落,ナガバヤブマオ群落).各群落の出現種数は2 種~ 16 種と種数は少なく,各群落の識別種は群落名で示した4 種のみであった.これらの4群落は
    ニホンジカ
    の不嗜好性植物群落と考えられる.河川植生が
    ニホンジカ
    の食害を受け,裸地と不嗜好性植物群落に変化している例はほとんど報告されていないので,今回その実態を明らかにした.
  • 藤間 理央, 高木 俊人, Anderson Donovan, 斎藤 涼我, 千本木 洋介, 奥田 圭, 永田 純子, 兼子 伸吾
    野生生物と社会
    2021年 9 巻 57-64
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/01
    ジャーナル フリー

     The number of Japanese sika deer (Cervus nippon) populations continues to increase contributing to the wide distribution of deer in Japan. However, historically, anthropogenic impacts caused the near extinction of Japanese sika deer in the Tohoku region of Northeast Japan. In recent history, Japanese sika deer have been able to repopulate many parts of the Tohoku region. In order to understand the complex histories of these deer populations, we investigated the origin of Japanese sika deer in the southern Aizu region in Fukushima Prefecture using mitochondrial DNA. As a result, two major lineages of Japanese sika deer were identified in the southern Aizu region. These two lineages were shared or closely related to that of Japanese sika deer in Kanto region, which suggests that the southern Tohoku deer populations were originated from this region. In addition, these haplotypes were closely related to those found in Yamagata Prefecture, suggesting that deer populations in southern Aizu region were likely the source of deer populations that have expanded in the north. Here, we show that mitochondrial DNA analysis can be used to elucidate the origin of new populations of Japanese sika deer. Future studies will need to clarify our findings using population structure of Japanese sika deer, including deer in the northern Kanto region.

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