ヌード
マウス移植ヒト前立腺癌株 (Pro-1) に対する基礎的検討とプラチナ化合物の感受性テストをおこないつぎの結果をえた.
(1) この株の継代移植中の生着率はほぼ100%で, 増殖状態にも変化はみられなかつた.
(2) また, ホルモンレセプターも認められず Estrogen に対する感受性も低く, ホルモン依存性がきわめてすくない癌であると考えられた.
(3) プラチナ化合物の投与方式は, すべて腹腔内投与としたが, 投与日を, (1) 移植翌日, すなわち day 1, さらに day 5, 9としたのと, (2) 腫瘍での血管新生が確実となる day 8, 12, 16との方式との間には, 腫瘍増殖曲線上でのプラチナ化合物の感受性の差違は認めなかつた. (4) 継代を重ねても, 抗癌剤感受性に変化がみられないことを証明しえた. (5) プラチナ化合物の感受性テストでは, (i) 腫瘍増殖曲線による判定, (ii) 病理組織像による判定, の2方式にしたがつた.
(I) われわれの判定規準では, CDDPは, 5mg/kg, 2.5mg/kg, 1.25mg/kgの3群で有効であつた.
(II) 1-GHPは, 25mg/kg, 12.5mg/kgの2群で有効.
(III) d-GHPは, 50mg/kg, 25mg/kgの2群で有効.
(III) DBCPは, 有効群は認められなかつた.
(V) 1-OHPは, 20mg/kg群のみ有効であつた.
安全治療域としては, CDDPがもつともよく, ついでd-GHP, 1-GHPである. 腫瘍増殖抑制効果と病理組織学的変化との密接な関連が認められた.
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