本研究では,ドイツの芸術学校バウハウスで教育活動に従事し,後にシカゴの改革芸術学校ニュー・バウハウスの校長として招聘されたL・モホリ=ナギの芸術家・教育者としての人生を,ドイツからアメリカへの亡命という歴史的文脈の中にとらえ,その中で彼が自らの芸術教育学をどのようにつむぎあげていったのか,その形成過程の基本骨格を,ジョセフ・ハリス・カトンの研究「モホリ=ナギのユートピア的ビジョン」(1980)を主要文献として明らかにした。それによってわが国の従来の研究では十分にイメージできなかった,ドイツ時代からアメリカ時代にいたるモホリ=ナギの思想的展開を,連続的プロセスとして浮かび上がらせた。
抄録全体を表示