電気製品は様々な有害金属を含む多種類の部品で構成されているが,法的に規制されることなく廃棄されている。電気製品がゴミ捨て場に投棄された後,それらに含まれる有害金属の溶出状況はほとんど明らかにされていない。様々な条件下で電気製品中の有害元素の溶出挙動を調べることは環境に対して極めて重要なことと思われる。本研究では有害金属が電気製品中に含まれる割合を推算し,さらに仮想環境中(純水,塩水,酸)における部品ごとの金属溶出状況を調べた。電気製品に含まれる金属では,Pbの溶出量がもっとも大きく,特に酸による溶出が極端に大きいことが認められた。主なPb溶出の供給源ははんだであり,長期間にわたって酸性雨に曝されたとき,はんだからかなりのPbが溶出するであろうと推測した。Pb溶出防止対策として,Pbの回収,無害な物質による基板類のコーティング,使用するはんだ量を減らすなどが考えられる。Pb以外の溶出金属としては,Zn,Cu,Sbなどの溶出が目だっていた。
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