ハラン
•サンゴジュおよびヤツデの葉組織における過冷却点 (過冷却が自動的に破れる限界温度) を各組織片の凍結曲線から測定し, 成熟葉 (前年葉) と未熟葉 (当年葉) における過冷却点と耐凍性との関係,ならびに過冷却点に及ぼす冷却速度の影響をしらべた.
1.
ハラン
とサンゴジュの成熟および未熟両葉組織片について, 凍結曲線をとりながら, その凍結過程の任意の時期に冷却を中断し, その際における表皮組織の生存率から耐凍性を比較すると,両
植物
いずれにおいても成熟葉は未熟葉より高い耐凍性を示す. すなわち, 未熟葉では組織の凍結開始後まもなく生存率が低下しはじめるのに対し, 成熟葉では組織の凍結がほとんど終了するまで生存率は高い.
2. 葉組織の過冷却点は, 一定の冷却条件下では,
植物
の種類•組織の成熟度に応じてそれぞれ比較的狭い温度域にあつまり安定した値を示す.
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およびサンゴジュの成熟葉は未熟葉にくらべ耐凍性が高いが, 過冷却点については,
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では成熟葉が未熟葉より低く, サンゴジュでは逆に未熟葉の方が成熟葉より低い. したがって, 葉組織の耐凍性と過冷却点との関係は,
植物
の種類によってことなり, 過冷却点の値を直ちに耐凍性判定の指標にすることはできない.
3. 過冷却点に及ぼす冷却速度の影響を, 0゜において1゜-7゜/分の冷却条件でしらべると, 夏期の
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およびサンゴジュでは, 冷却速度が小さいときほど過冷却点の温度域は狭く, 冷却速度が大きくなるにつれて次第にその幅は拡大する. しかし, このような傾向は冬期には認められず, 各冷却速度において温度域の幅はほとんど等しい.
4. 冷却速度が大きくなるにつれて, 過冷却点は次第に下降する. すなわち, 急速に冷却すると, よく過冷却するが, この状態は不安定で早く破れやすく, ゆっくり冷却すると過冷却の状態は時間的に長く続くが高い温度で破れる.
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