グラス
ハープ
はガラス器の縁を指で擦ることにより音を出す楽器である。1音につき1つのグラスを必要とし、本格的な音楽演奏のためには多くのグラスが必要になる。これにより1人の奏者が同時に複数音を鳴らす演奏、速いフレーズの演奏等は限界があり、またグラスセットの持ち運びが煩雑であることなどが、専門的な演奏楽器としての発展の障壁となっている。本研究では、大きさの異なる7つのガラス製ボウルを重ねガラス棒で繋いだ「マルチレイヤードグラス
ハープ
」の制作により、①1台の楽器で複数の音を奏でること ②従来のグラス
ハープ
にはない多彩な奏法が可能であること ③持ち運びが容易であること、の3つの要件を実現した。このマルチレイヤードグラス
ハープは従来のグラスハープ
にはない余韻に富んだ残響が得られるほか、ガラス棒の上部を持ち、グラス
ハープ
全体の角度を変えて音の高低を変化させたり、揺らすことでビブラートを生じさせたりすることが可能である。また音響解析の結果、グラス
ハープ
はボウルが空の状態と水を注いだ時とで倍音構造が大きく変化することが明らかになり、同じ奏法でも水の有無により異なる音色を愉しむことができる楽器であると言える。
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