1) バルキングを起した活性汚泥から桜井の培地を使用して数種の糸状細菌を分離した。そのうちの
Sphaero.属菌とみられ, かつ汚泥中で優勢な菌株は純粋分離が比較的困難であった。それを, 塗抹培養を繰返し, 最後に雑菌の付着のない糸状体をかきとり培養することにより, 純粋に分離した。
2) この純粋分離した菌株を, コロニーの性状, 顕微鏡, 電顕による検鏡など, 主に形態観察の文献記載との対比によって,
Sphaerotilus sp.と判定した。
3) 分離した
Sphaero.の菌株保存が比較的難しいことがわかったので, その保存培地, 方法について検討し, 大略次のことがわかった。
(1) 液体培地で, 保存に対するC源の種類と濃度の適応範囲を検討し, それはグルコース0.2~0.5g/l, グリセリン0.5~約2.0g/lがよく, 全体にC源としてグリセリンを用いた方が生存率がやや良い。
(2) 保存温度は, 液体, 固形培地使用共に, 25℃がよく, この菌の低温保存はよくない。
(3) 保存培地としては, 菌の取扱上からも固形培地が適当で, 桜井寒天培地のC源としてグルコース (0.5g/l) のまたはグリセリン (1.0~2.0g/l) の入ったものがよい。
これらの条件で, 通常の斜面培養で保存した場合, 保存20~30日で植え継を要する。
4) この菌の長期保存にはパラフィン封入法がきわめて良く, 前記組成の固形培地, 試験管を用いたパラフィン封入法により, 25℃で約300日以上は保存できる。この場合, 植付後, 培養約7日以内にパラフィンを封入し, 保存中の低温への変温はさけるのがよい。
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