要旨 : 「
パニック
障害における老化の問題」(1)65歳以上の老年人口での出現率 : 男性は0%, 女性は0.4%である。25〜44歳の若年女性と65歳以上の老年女性での出現率の比は4 : 1である。(2)老年期の
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障害は若年期のそれと現象的に異なることはなく,
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アタック, 予期不安, 恐怖となる対象からの回避, 身体化および心気症状, 心身へのとらわれ, そしてうつ状態が認められる。(3)老年期の
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障害では突然のアタックは致死的な心不整脈, 心不全, 心筋梗塞などを誘発しうる。(4)老年期の
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障害の誘因としては家族歴に神経質, アルコール依存あるいは自殺の症例が認められ, 慢性閉塞性肺疾患やめまい, そしてパーキンソン病との関連が指摘されている。保進因子としては, 外科手術のストレスや, 癌の診断, 経済的損失や配偶者との別離があげられる。うつ病それ自体も,
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障害のリスクを増加させる。(5)薬物としてはベンゾジアゼピン系や選択的セロトニン再取り込み阻害剤, 三環系抗うつ剤などが有効である。特に広く用いられるのはアルプラゾラム(老人への平均1日処方量2.5mg)およびノルトリプチリン(平均1日処方量55mg)である。
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