[目 的] 近年、ニードル
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で布地に繊維や糸を加飾する方法、あるいは単に布地を貫通させて新たなデザイン性を付与した生地を生み出す方法などのニードル
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加工の製品が巷でよく見受けられるようになった。しかし、このようなニードル
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加工に関する研究報告はほとんど見当たらないのが現状である。筆者らは、布の上に
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された加飾繊維の安定性を検討し、
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回数や繊維の配置が加飾繊維の剥離強度に大きく関与していることを報告した
1)。本報告では、加飾繊維は用いずに、数種類の代表的な布を直接
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する加工方法によって得られる布の力学的物性(強伸度など)について、加工前との違いを比較・検討した結果を報告する。なお、東京都内の百貨店で
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加工による繊維製品の販売状況を調査したので、その結果も報告する。
[実験] 布試料として、綿・毛・ポリエステルから成る数種類の服地用の生地に、フェルト針:FPD-132 (オルガン社製)を用い、打ち込み速度:180回 / min、布送り速度:50cm/min、打ち込み深さ:10mmの条件で加工した。
[結果] パンチング
針によって布試料裏に貫通した糸や繊維のため、布の厚さは変化し、視覚的にも触覚的にも元の布とは異なる新たな風合いの布が得られた。太い織糸の布では、布の外観変化や風合いの変化が大きく観察された。一方、薄地の布では針の強制貫通により繊維はダメージを受け、布の強度が著しく低下した。起毛やループなど厚みのある毛織物では、見かけ上、大きな変化は観察されなかった。百貨店において、デザイン性や付加価値を追及した製品の売り場において、ニードル
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加工の製品が多くみられた。
1)牟田緑、鎌田佳伸、第17回繊維連合研究発表会要旨集P63(2008.9)
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