2010年の岩手県環境保健研究センターによる岩手県内10市6町の計146カ所の
ヒトスジシマカ
生息調査で,2009年の盛岡市仙北地区の1カ所の発生源から周辺の半径150m以上にわたって分布域が拡がっていたこと,その他同市内玉山区1カ所でも分布が確認された. 2011年東日本大震災による津波によって,太平洋沿岸地域は内陸部まで破壊され,調査対象としていた漁港,寺社なども被災し,海岸線の環境が著しく変化した.2010年に釜石市の北約15kmに位置する大槌町の寺院の墓地で
ヒトスジシマカ
が複数コロニー確認されたが,津波によって寺院は流出し,墓地も激しく破壊された.しかし,2011年の調査で,寺社裏山斜面にある墓地の花立て等から
ヒトスジシマカ
が確認された.また,盛岡市内では玉山区での定着は確認されなかったが,市内大慈寺町内の寺院に隣接する墓地および下ノ橋町の駐車場において多数のコロニーが確認された.青森県八戸市の海岸線は津波の被害を受けたが,2010年に
ヒトスジシマカ
が確認された寺院は高台にあって被災せず,ほぼ同じ墓石の複数の花立てから
ヒトスジシマカ
が確認された.しかし,分布が限局されていることから,今後の調査の継続が必要と考えられる.
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