【目的】日本調理科学会特別研究「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」では,1960~1970年頃までに定着した家庭料理について,聞書き調査と併せて文献からの資料の収集・分析も重要である。そこで本報は,特別研究の調査資料リスト(H26沖縄県)で報告した文献より沖縄の料理や食材に関連する内容および地域ごとの特色を把握し,次世代に伝え継ぎたい沖縄の家庭料理リストを作成するための基礎資料を得ることを目的とした。
【方法】特別研究の調査資料リスト(H26沖縄県)の文献に記載されている料理や食材,調理法について,「1960~1970年頃までに定着していたもの」「地域の気候・風土や暮らしに基づくもの」「県全体を代表するように料理を選定」等の料理リストの選定基準を踏まえ,料理項目ごとに分類した。
【結果】沖縄県全体で共通する代表的な料理として,1.ごはんものは,クファジューシー,カンダバージューシ-,2.麺類ではソーメンチャンプルー,沖縄そば,3.おかずとしての野菜料理はチャンプルー,魚料理では,マース煮,イカ墨汁,肉料理では,スーチカー,足ティビチ,乾物を利用した料理では,クーブイリチー,かんぴょうイリチー,4.汁ものでは,ナカミ汁,ソーキ汁,ゆし豆腐,アーサ汁, 4.漬物は,大根・らっきょうの地漬,5.おやつ・お茶請けには,サーターアンダギー,チンビン,ポーポー,
ヒラヤーチー
,6.正月料理/祭り・行事の料理には,餅と乾肴(豚三枚肉・昆布・ごぼうなどの煮染め,揚げ豆腐,田芋のから揚げ,魚天ぷら,かまぼこなど)の重箱料理,田芋ディンガクなどがある。調理法としては,煮る,炒める,揚げるなどの加熱調理が多い。今後は,地域独特の料理,料理項目の分類方法等についての検討が必要である。
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