研究の目的 対象児が強い興味を示す対象(以下、
ヒーロー
)をモデルとして利用した方略であるビデオ
ヒーロー
モデリング(VHM)とビデオセルフ
ヒーロー
モデリング(VSHM)の効果を検討した。
研究計画 行動間多層ベースラインデザインを用いた。
参加者 知的障害特別支援学校小学部1年に在籍する自閉スペクトラム症(ASD)男児1名に対して介入を行った。
場面 学校の運動場で実施される、朝運動の4つの下位活動(パラバルーン、ウォーキング、ランニング、体操)に対して介入が行われた。
介入 標的行動が期待される朝運動場面の直前、対象児にとっての
ヒーロー
が標的行動のモデルを提示するビデオ(VHM)を視聴する機会を設定した。さらに、VHM期の後にはASD児が
ヒーロー
とともに望ましい行動に従事し、
ヒーロー
がそれを賞賛するビデオ(VSHM)を導入した。
行動の指標 各下位活動への参加を評価した。パラバルーンに関しては4段階のレベルを設定し評価した。それ以外の行動については10秒間の部分インターバル記録法を用いて評価した。
結果 パラバルーンとウォーキングは、VHM導入後に行動が生起し始め、VSHM導入後に行動が安定した。ランニングはVSHM導入により、安定的に行動が生起するようになった。体操は介入なしに行動が安定して生起するようになった。
結論 VHM及びVSHMに一定の効果が示された。今後、VHMやVSHMの追試をするとともに、どのような児童・行動に有効であるのかを検討していく必要がある。
抄録全体を表示