花粉アレルギーはアレルギー患者の半数に影響を及ぼすと推定されており, アレルギー性鼻炎だけでなく花粉−食物アレルギー症状群の原因ともなりうる. 一般に, 樹木花粉アレルギーはマツ目, ブナ目, シソ目, ヤマモガシ目に属する樹木によって引き起こされる. 患者の居住地域に植生する樹木は患者の感作プロファイルに影響を与える. わが国では, マツ目ヒノキ科のスギとヒノキ, ブナ目カバノキ科のハンノキとシラカンバの花粉が原因の花粉症の頻度が高い. 一方, アレルゲン感作の分子ベースのプロファイリングが整備され, アレルゲン交差反応性の免疫学的機序の解明が進歩した. その結果, 異なる樹種間の分類学的関係および分子学的関係を知ることで, 一見無関係な樹種間の交差反応性の予測が可能となった. 花粉症診療において, 原因アレルゲンを同定するためにこれらの知識は大いに役立つだろう.
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