野菜類の中でも高耐塩性をもつとされるアスパラガス(
Asparagus officinalis L.)およびテーブル
ビート
(
Beta vulgaris L.)と,汽水域に生息し,塩ストレスに対して有効な遺伝資源をもつ塩生
植物
ウラギク(
Asterti tipolium L.)を用いて,0~300mMの様々の塩ストレス下で発芽の状況を調査するとともに,水耕栽培を行い,栄養生長期における生長量や形態的な差異を調査した結果,以下のような知見を得た.
アスパラガスおよびテーブル
ビート
は,0 mM NaClの対照区で90%近くが発芽したが,50mMのNaCI条件下での発芽率は,それぞれ,50%および61%,また100mMでは,12%および21%であった.ウラギクについても,塩濃度が増すにつれて発芽は抑制されたが,150mMのNaCl処理でも,対照区の発芽率を100とした時の50%以上が発芽しており,種子段階からの高耐塩性が示唆された.
アスパラガスおよびテーブル
ビート
実生を目的の塩濃度(50および100mM)で直接処理した場合,
植物
体は萎ちょうおよび枯死したため,この二つの
植物
については段階的に濃度を上げて処理した.塩ストレスを与えた栄養生長期の
植物
では,草丈には差がなかったが,塩処理区の根長が対照区に較べて有意に長くなった点は供試した
植物
に共通した.アスパラガスおよびテーブル
ビート
の地下部の乾物重は100mMのNaClによって抑制された.一方,ウラギクは,目的の塩濃度で直接処理したにもかかわらず,乾物生産は,150mMのNaClでは対照区とほぼ同様で,300mMのNaClで抑制された.
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