日本で芳香消臭剤が使われ始めて60年あまり,現在では家庭での手軽なにおい対策商品として,また香りを積極的に楽しむ商品として多くの人に認知され多数使用されるようになっている.芳香消臭剤で使用されている香りは時代と共に大きく変化し,1980年頃までは香りには消臭という機能的価値が求められていた.1990年頃以降は機能的価値に加えて香りを楽しむといった情緒的価値も求められるようになってきた.使用される香りの種類も時代と共に大きく変化しており,当初の比較的シンプルな香りから,最近では上質で高級志向の香りが多く使用されるようになってきている.
近年、特定の園舎を持たずに自然の中で子どもを育む新しい保育活動が、子育て世代の間で注目を集めるようになった。典型的な中山間過疎地域の一つである鳥取県智頭町には2009年度から「森のようちえん・まるたんぼう(以下、まるたんぼう)」が設立され、ユニークな保育活動を展開し、現在、智頭町の地域経営の柱としての役割を担うに至っている。
本研究は、まずは、まるたんぼうが智頭町という小さな町に根をおろした経緯とその背景、保育理念や保育の特徴、および、その後の活動や組織の拡大を整理した。次いで、子育てに関する取り組みが、高齢化と人口減少の最前線であり、むしろ対極的とも思える中山間過疎地域で創生した背景を、地域の歴史を振り返りつつ検討する。具体的には、智頭町において、1984年以来、38年間にわたって展開されてきた草の根住民自治運動の歴史を3つのフェーズにわけて概観し、それぞれの特徴について取りまとめた。最後に、まるたんぼうという幼児教育の場と住民自治運動という、一見、相容れない2つの活動の間に、地域活性化と教育に共通する理念というリンクを見出し、まるたんぼうの誕生を住民自治運動の歴史の流れの中に位置づけて考察した。
石井淳蔵『進化するブランド オートポイエーシスと中動態の世界』碩学舎,2022年.(書評者:木下 明浩)
鳥羽達郎(訳・解説)『「小売の輪」の循環:アメリカ小売業の発展史に潜むダイナミクス』同文舘出版,2022年.(書評者:青木 均)
堀越比呂志『アメリカ・マーケティング史15講―対象と方法の変遷―』慶應義塾大学出版会,2022年.(書評者:菊池 一夫)
柳 純『日本小売企業の国際マーケティング』同文舘出版,2022年.(書評者:鳥羽 達郎)
本研究は,創造的なアイデア開発のための,概念結合活用(CC),アナロジ活用(A),およびそれらの関係を検討した。大学生170人を対象にアイデア開発実験を行ったところ,CC を例示により促した群(CCg),A を例示により促した群(Ag)および促進なし群(Cg)の比較において,Cg よりもCCg の方に,CC をした者が有意により多く,Cg よりもAg に,A をした者が有意により多かった。Cg よりもCCg あるいはAg の方が,有意により遠い概念を用いた。ここで例示には開発対象分野から遠い概念をヒントとして含んだ。CC ダミー,開発対象ーヒント間距離などを独立変数,アイデア創造性を従属変数とした重回帰分析において,開発対象ーヒント間距離の標準回帰係数のみが有意となった。これらから,CC あるいはA を例示により促せば,より確実にそれらを用い,例示が開発対象から遠い概念をヒントとして用いる例であれば,そのような概念が用いられること,開発対象からより遠い概念を用いれば,より高いアイデア創造性に結びつくことが示された。
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