本研究では,大学サッカー選手25名を対象に体力測定を実施し,ポジション別での体力特性を解明するとともに,実際の試合中における移動距離・移動スピードを評価し,ポジション別での総移動距離に対する無酸素性および有酸素性エネルギー機構の動員比率を推定した。体力測定項目は,Vertical Jump,Sprint,Isokinetic muscle,YYIRT,OBLAであり,これらはポジション別での有意差は認めなかった。しかし,OBLAをもとに試合中の選手の移動距離・移動スピードの変動を評価したところ,ポジション別で要求される生理学的特徴が異なる可能性があることが示唆された。本研究結果におけるサッカーの専門的な体力評価は,実際の指導現場に反映させることにより,個々の選手の体力評価に基づく適切なポジション配置や,それぞれのチーム戦術におけるポジション別特徴を生かしたトレーニングメニューの考案などの一助となることが期待される。
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