日本の
フィランソロピー
は近年著しい発展を遂げているが,
フィランソロピー
の概念と定義を包括的に整理した研究はまだ限られている.本論文の主たる目的は,
フィランソロピー
の定義を理解するための分析フレームワークを示唆し,日本の
フィランソロピー
研究を促す事にある.そのため研究の進む米国を中心としたフィランソピー研究のシステマティック・レビューを行い,定義を分析した.システマティック・レビューに際しては,近年の主要研究(Daly 2012, Sulek 2010a, 2010b)の他,各種文献データベース(ABI/INFORM, EBSCO, JSTOR)とインディアナ大学のPayton Philanthropic Studies Libraryを用い,
フィランソロピー
研究者の助言も得た.その結果,西洋の
フィランソロピー
の様々な定義と関連する社会的,政治的,文化的要因,そして時系軸と理論的観点からの類型化という2つの観点から
フィランソロピー
という概念がいかに捉えられてきたかを考察すると共に,この類型化と日本の
フィランソロピー
研究の発展との関連性にも触れる.
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