平成19年7月に発生した中越沖地震においては,柏崎刈羽原子力発電所が羅災し,屋外変圧器の火災や微量の放射性物質の所外への流出などがメディアにきわめて大きく取り上げられた。このとき事業者をはじめ中央官庁や自治体等が外部発信の面での初動体制にいくつかの課題を残した。これらの反省を踏まえて,「総合資源エネルギー調査会原子力安全・保安部会」の下部に「原子力施設に関する自衛消防及び情報連絡・提供に関するワーキンググループ」が設立され,数多くの課題の摘出・提言がなされた1)。これらを踏まえつつ,事業者および規制の側の緊急時の情報発信(クライシス・コミュニケーション)はいかにあるべきかを検討した。さらに,災害・事故がやって来たとき,平時よりPDCAを廻して周到な備えがなされているか。また平時・有事を含め,メディアの論理とその対応について考察した。
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