蛋白結合性尿毒症毒素としてのインドキシル硫酸と
フランカ
ルボン酸 (3-カルボキシ-4-メチル-5-プロピル-2-フランプロピオン酸) の測定法を確立し, continuous ambulatory peritoneal dialysis (CAPD) を受けている慢性腎不全患者と慢性血液透析患者における血中濃度を測定し, いずれの血液浄化法がこれらの除去に有効か検討した.
CAPD患者20名ならびに平均透析年数がほぼ同じ慢性血液透析患者23名を対象として高速液体クロマトグラフィー (HPLC) にて血清中およびCAPD排液中のインドキシル硫酸と
フランカ
ルボン酸を定量した.
CAPD患者においては血清インドキシル硫酸と
フランカ
ルボン酸濃度は, それぞれ2.03±1.22 (mean±SD)mg/d
l, 1.31±0.69 (mean±SD)mg/d
lで, それぞれ正常者の約40倍, 約4倍に増加していた. CAPD排液中へのインドキシル硫酸と
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ルボン酸の除去量はそれぞれ30.2±39.2 (mean±SD)mg/日, 1.13±0.42 (mean±SD)mg/日であった.
一方, 慢性血液透析患者においては血清インドキシル硫酸と
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ルボン酸濃度は, それぞれ血液透析直前で2.76±1.65 (mean±SD)mg/d
l, 4.10±1.83 (mean±SD)mg/d
l, また血液透析直後でそれぞれ2.27±1.25 (mean±SD)mg/d
l, 4.83±2.13 (mean±SD)mg/d
lと正常者に比較して著明に増加していた. 血液透析によるインドキシル硫酸と
フランカ
ルボン酸の除去率はそれぞれ17.8%, -18.0%であり, 血液透析ではインドキシル硫酸は少し除去されるが,
フランカ
ルボン酸は全く除去されないことが分かった.
以上のように, CAPD患者においては
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ルボン酸の血清濃度が血液透析患者に比較し有意に低下していた. これは主としてCAPD排液中へのアルブミンの漏出に伴う
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ルボン酸の除去の結果である. 血清インドキシル硫酸濃度に関してはCAPD患者と血液透析患者において有意差が認められなかった.
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