米国同時多発テロ直後の2001年9月12日の東京証券取引所では,多くの売り注文が出されて市場流動性が低下するとともに,日経平均株価指数と日経平均先物の間で価格差が大輻に拡大した.本研究では,これらの現象について次のような実証結果を得た.1.テロによるファンダメンタルズの悪化以外にも,特別気配や制限値輻などの制度的要因や,テロ発生時点の信用残高,マーケット・ベータ値,企業規模,レバレッジ比率,株価純資産倍率などの銘柄固有要因が個別銘柄の市場流動性に有意な影響を与えている.2.テロ後には,上述のような制度的要因や銘柄固有要因に左右されにくい先物価格による現物価格の先導傾向が通常よりもいっそう強くなっている.
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