本研究の目的は,箱庭療法における「物語作り法」について検討することである。24名の大学生・大学院生に調査を行い,箱庭制作と,その1週間後に物語作成をしてもらった。制作体験の語りを修正版グラウンデッド・セオリーにて分析し,物語作成過程の諸相を描き出した。その結果を検討することを通して,物語の作用として,1) 箱庭のイメージを追及し拡大することにつながりうる一方,2) 捨象したりずれたりすることで,箱庭のイメージからずれる可能性があること,3) そもそも物語という形式に箱庭のイメージが合わない場合があることという3 点を見出した。
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