脱脂乳への各種核酸関連物質の添加が乳酸菌の酸生成に及ぼす影響について,
Lactobacillus9菌株,
Lactococcus2菌株,
Streptococcus1菌株を用いて検討し, 次のような結果を得た.
(1) 各種
プリン塩基
関連物質の50mgを脱脂乳 100mlに添加し, 酸生成に及ぼす影響について検討した.
各種
プリン塩基
関連物質の酸生成への影響は,
Lactococcus2菌株を除いて, 各種乳酸菌ごとに異なっていた.しかし, アデニンを基本に似ているものを分ければ, 12菌株を, A : アデニン関連物質が促進する (
Lactobacillus2菌株), B : アデニン以外は促進する傾向がある (
Lactobacillus3菌株), C : アデニンの外, 5′-アデニール酸が阻害する (
Lactobacillus4菌株), D : ほとんど影響がない (
Lactococcus2菌株,
Streptococcus1菌株), に分けられた.さらに, A, C, Dはそれぞれ二つに分けられた.
(2) 各種
プリン塩基
関連物質0.5~50mgをそれぞれ脱脂乳100mlに添加し, 上記A, B, Cのそれぞれ1菌株について, 酸生成への影響を検討した.
Loct.helveticusB-1では, アデニン, アデノシン, 5′-アデニール酸は0.5mgでも促進した.グアニン, グアノシン, 5′-グアニール酸は5mgで明らかに阻害した.
Lact.caseisubsp.
caseiS-1では, キサンチンは 0.5mg, アデノシン, グアニン, 5′-グアニール酸, ヒポキサンチン, 5′-イノシン酸は5mg, グアノシン, イノシンは25mgで著しく促進した.5′-アデニール酸は50mgでやや促進し, アデニンが5mgで阻害した.
Lact.acidophilus L-54では, アデノシン, グアノシンは0.5mg, グアニン, キサンチンは5mg, 5′-グアニール酸は25mgで促進した.アデニン, 5′-アデニール酸は50mgで明らかに阻害した.
本報告の大要は平成2年(1990)5月,第42回日本家政学会大会(福岡)で発表した.
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