ペルーの森林は、低標高のアマゾン地域から高標高の山岳地域であるアンデスに至るまで広範囲に渡っている。これら森林の撹乱については、伐採だけではなく、火災も大きな割合を示している。ペルーの森林火災は、クスコ県や
プーノ県
といった山岳地域での発生が多い。気候変動の影響を受け、ここ10年でペルー国内の森林火災発生数は増加傾向にあり、公益的機能の低下、特に水源涵養機能の低下が懸念されている。加えてCOVID-19の感染拡大が森林火災の発生にも影響を及ぼしている。都市部のロックダウンによって行政機関による違法伐採の監視が無くなり、森林伐採と火災が増加している。最も火災が発生しているクスコ県では、その件数が2019年比で250%増となっている。このような森林火災の増加に伴い、煙による健康被害が懸念されている。森林火災の98%は人為起源とされており、放火は4年から6年の懲役が科されることが示すなど、防火のための啓蒙活動も盛んになっている。山岳地域の森林は元々脆弱な生態系であり、火災による影響とその後の回復過程を正しく把握することで、公益的機能の高度発揮を可能とする森林管理が実施できるであろう。
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