不定芽の形成や繁殖の方法がよく知られている
ベゴニア
•ンックスを用い, 放射線照射により誘発された突然変異が小さなキメラ状に現われた場合でも, この変異を拡大し, 分離, 固定するため通常の栽培条件下で, 適時, 変異しなかつた組織を取り除くことにより, 変異組織の発達を助け, 変異個体を作り出す可能性について検討した.
照射により小さなセクター状の変異部分をもつた,
ベゴニア
•レックスを材料とした. まず, 変異セクターを示した側の葉柄基部より, えき芽を発達させるために, この葉の上部の茎と, その他の正常な側枝をせん定除去した. この結果, 予定の位置より発達した新茎に着生した葉では, セクター状変異部分が, かなり広がつていた. そこで, 以後は, この変異セクターを示した側の茎の組織部分のえき芽や不定芽から, 新しい茎を発達させ, 変異部分を拡大するように, 数回, 切り返しせん定をくり返した.
この操作により, 完全な変異葉のみをつけた新しい茎が得られたので, この変異した茎と, 部分変異している茎と分離し, 最初のセクター状に現われた変異部分と同じ変異を示す完全な変異個体とした.
照射では変化しなかつた部分の葉ざし, 茎ざし繁殖した株では, 変異は全くみられなかつた.
これらの結果から,
ベゴニア
•レックスでは, たとえ変異部分が小さくても, せん定技術をうまく利用していけば, 通常の栽培条件下でも, 充分に変異を拡大し, 分離, 育成しうることが可能と考えられた.
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