思春期心身症症例に対し面接を中心とした治療的援助を行った。その身体症状の形成と治療的援助過程について発達的、精神分析的視点から考察し以下の結論を得た。1.思春期心身症は早期幼児期の脱身体化の過程が不完全あるいは傷害されていると考えられ、思春期の危機的状況に直面し退行的な再身体化を引き起こしたものと考えられる。2.よって脱身体化の過程を促進するような援助が必要であるが、早急に患児らに感情を表現させると身体症状が悪化するため、感情耐性が高まり自我が成長するのを支持することが必要であった。3.症例1、2は言語的表現が活発になるにつれて身体症状が軽決あるいは消失した。症例3、4は脱身体化の過程も傷害されているものと思われ内面の問題を言語化することができなかった。4.症例1、2においては面接者の受容的、支持的態度は患児らの自己表出を促進した。面接者は患児らの自己表現に柔軟に対応していくことが重要であった。症例3、4においては面接者の受容的、支持的態度により早期幼児期に得られなかった「だっこの環境」を提供することが必要であった。
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