ハプトグロビン (Hp) は, 血清中の急性相蛋白の一つであり, その血清濃度の変化は炎症性疾患の病態把握に利用できる. 犬の各種炎症性疾患における血清Hp濃度を市販のキットを使用して一元放射免疫拡散法で測定し, 他の急性相蛋白である血清α
1-酸性糖蛋白 (α
1-AG) 濃度と比較することでその臨床面における有用性について検討した. その結果, 疾患犬の血清Hp濃度は, 呼吸器, 消化器および外傷性疾患等の各種急性炎症疾患で高値を示すものが多かった. また, 血清Hpとα
1-AG両濃度間に有意な正の相関が認められ, 疾患犬ではα
1-AGよりもHpの方が健康犬と比較して高値を示す症例が多かった. したがって, 犬の種々の炎症性疾患時の診断および病勢の指標として, 今回の一元放射免疫拡散法によるHpの測定はα
1-AGと同等あるいはそれ以上に有用であると考えられた.
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