目的 本研究では、靴の製造方法がある着心地、履き心地に与える影響を検討するため、
ボロネーゼ
製法とセメント製法パンプスの二種類を用い、歩行時の足低圧測定と履き心地に関するアンケート調査を行った。方法
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製法パンプスとセメント製法パンプスについて、F-スキャンを用いて直立静止時の足低圧分布測定、長距離歩行前後の10歩の足低圧分布測定、事前アンケート、実験中アンケート、事後アンケート、総合評価を実施した。結果 長距離歩行前歩行後の直立静止時の荷重値の左右差比較を行った結果、被験者8人中6人は
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製法パンプスにおいて歩行後に荷重値のバランスが改善された。長距離歩行にかかった平均時間(秒)と平均歩行数の結果においても、
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製法はセメント製法に比べ若干ではあるが速く、平均歩数も少ない結果となった。
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製法とセメント製法の歩行実験前後の10歩の荷重平均値(単位:kg)の結果では、
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製法、セメント製法ともに歩行前に比較して歩行後に荷重平均値は減少していた。その差はセメント製法に比較して
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製法で減少していた。歩行実験でのアンケート結果では、長距離歩行後のセメント製法パンプス・
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製法パンプスともに足先への痛みを感じていることが分かった。
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製法は爪先部分が袋状となるため、足当たりが柔らかいことが特徴であるが、セメント製法に比較して、前足部に対して拘束感を感じることによる痛みであると考えられ、セメント製法は、「歩いているうちに靴が脱げそうになった」といった回答を得たことから、歩行により靴の中で足が前にすべることにより、前足部が靴にあたることが痛みの原因であることが考えられた。
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