無線LANシステムなどの移動通信において,効率的な運用を実現するためには電波伝搬に関する十分な理解が必要である.従来,電波伝搬特性推定においては実験的な手法が多く用いられてきた.一方,計算機システムの性能向上および大規模化により,数値シミュレーションによるオフィスビルなどの屋内伝搬に関する推定が現実的になっている.本稿においては,オフィスビルにおける5GHz帯無線LANシステムの屋内伝搬特性として,大規模電磁界解析に基づく伝搬経路の推定を行う.はじめに,数値シミュレーションのための高精度数値モデルを作成する.特に,電波伝搬は金属導体により大きな影響を受けることから,金属製什器やコンクリート壁内部の鉄筋構造等を正確に考慮する.定常状態における電磁界成分から
ポインティングベクトル
を計算および可視化することで,屋内伝搬経路の推定を行う.
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