薬は人体の重要な構成成分である蛋白質に作用する.薬との親和性の高さをdruggabilityといい,親和性の高い蛋白質の発見は製薬過程における重要な課題である.近年の研究では,薬成分の多くは蛋白質表面上の窪み(
ポケ
ット)に反応することが知られており,我々もdruggableな
ポケ
ットに対する抽出・分析の研究を進めてきた.本論文では,蛋白質表面形状に対し,
ポケ
ットを抽出する手法,並びに,
ポケ
ットのdruggability分析のための2種類の可視化ツールを提案する.
ポケ
ット抽出手法では,三角メッシュで構成された蛋白質表面上に対し,メッシュ単純化により微小凹凸を平滑化し,その表面上から凹部を
ポケ
ットとして抽出する.druggability分析のための1つ目の可視化ツールでは,形状の観点から各
ポケ
ットのdruggability推定値を算出し可視化する.2つ目の可視化ツールでは,各
ポケ
ットの特徴量を2軸に割り当てた散布図と
ポケ
ット形状を1画面上に表示する.本論文では2つの可視化ツールを60種類の蛋白質に適用し,適切と思われるdruggability推定値が可視化されたことや,
ポケ
ットの電位や疎水性といった化学的特性とdruggabilityとの関係性を散布図で可視化されたことを示す.
抄録全体を表示