新たに羽化脱出したマツノ
マダラ
カミキリ成虫に対するマツの樹皮中の摂食誘起因子について検討した。生物試験法として,円形または矩形のプラスチック容器に,抽出物を含浸した〓紙と頂ントロール〓紙とを置き,成虫を入れて48時間あるいはそれ以上放置し,咬み痕を観察する方法を採用した。
1)クロマツ針葉と枝樹皮の水抽出物についての比較では,後者の方に著しい咬み痕があり,さらに当年枝,1年枝樹皮の間では後者により強い咬み痕を認めた。
2) アカマツ当年,1年,2年枝樹皮および樹幹樹皮の熱水抽出物から得たメタノール転溶物では,上と同様1年枝樹皮抽出物に最も咬み痕が強く,当年枝,2年枝および樹幹樹皮はこれより少なかった。
3) アカマツ当年,1年枝樹皮の熱水抽出物について網室内の生物試験を行なったところ,小容器内試験と同様咬みつき行動が観察された。
4)咬みつきおよび摂食継続因子成分の大部分は,水,アセトン,メタノールに易溶,ベンゼン,
n一ヘキサンに難溶または不溶であった。またペーパークロマトグラムの生物試験の結果から,これら活性成分はかなり極性のある物質と推定した。
5) 摂食誘起の活性成分は,水蒸気蒸留で留出しない。
6)カラムクロマトに生物試験を併用した結果,樹皮中のこれら生物活性成分には,少なくとも3種類あると考えた。
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