日本で生産されるバレイショの主要な2品種において, 生鮮時ならびに蒸熱処理後におけるテクスチャーの相違を検討した。
(1) 生鮮時では, 両品種共に比重の増加に従い, 硬さ, 凝集性およびガム性の各テクスチャー値は増大する傾向を示した。両品種共にそれぞれ比重と各テクスチャー値間には一次回帰式が得られた。同一比重ではメークインが硬く, 粘弾性の大きなテクスチャーを示した。
(2) 蒸熱処理後では, 両品種共に比重の増加に従い, いずれのテクスチャー値も低下する傾向を示し, 両品種共にそれぞれ比重と各テクスチャー値間には一次回帰式が得られた。同一比重ではメークインが結着力が強く, 粘弾性に富んだ崩れにくいテクスチャーを示した。なお, メークインも高比重試料では, 男爵薯に近似した崩れやすいテクスチャーを示すことが明らかとなった。
(3) 生鮮試料の熱分析の結果, 両品種共に低比重が, 細胞壁成分由来の70-100℃の吸熱ピークで大きな吸熱量を示し, 両品種共低比重試料のほうが蒸熱による性状変化には多くの熱量が必要であることが示唆された。さらにこの傾向は, 結着力の大きな粘質系のメークインが顕著であり, 粘質系の試料が蒸熱時の物性変化に多くの熱量が必要であること推察された。
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