【目的】製菓業者では小豆を製餡の加工過程で多量の小豆種皮が産業廃棄物として処理されているが,高繊維材であり抗酸化力も期待されることから有効利用する目的で,小豆種皮を乾燥粉末に加工し,小豆種皮粉の性状を解明する。更に小豆種皮粉添加がアメリカ
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の性状や食味特性に及ぼす影響を検討した。
【方法】小豆種皮粉は小豆種皮を常圧乾燥機にて65℃,17_から_24時間で乾燥後,粉砕機にて製粉し,平均粒度を200μmにした(素材A)。また,素材Aの除臭を目的に,超音波15分間洗浄処理を施し,素材B(ペースト状)とした。
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の調製は基本割合に,薄力粉の10,20,30%相当の素材A,Bをそれぞれ置換した各種生地を電動ミキサーで調製し,
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型に60gずつ流し入れ、ガスオーブンを用い170℃で20分間焙焼した。素材Aの歩留り,保水力,吸油力,組織構造観察(日本電子(株)JSM-820 JEOL),素材A・Bの色調,一般成分,食物繊維(プロスキー変法),無機成分(灰化後,高周波プラズマ質量分析装置:島津ICPMS-8200)ポリフェノール定量(酒石酸鉄の比色定量法)と
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の色調,比容積,重量減少率,水分量,物理的学特性(クリープメータ),官能評価を行った。
【結果】素材Aの歩留りは28.8±2.1%で,薄力粉より保水力3.6倍,吸油力1.5倍強く,成分は食物繊維や無機成分に富み,ポリフェノールの機能性を備えていた。素材Bは不快臭が除去され,成分変化は少なかった。素材Aは
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に20%まで薄力粉と置換できた。この製品は基本に比べ,小豆色を呈し,比容積は若干減少し,破断応力値とテクスチャーの硬さが増し凝集性は低下したが,嗜好的には好まれた。製品の組織観察は小豆皮片を認め,基本に比べ構造が緻密になった。素材AとBの20%添加製品の比較ではB製品の方が軟らかく嗜好的に好まれた。
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