マレーシアのらいのコントロール•プログラムについて概説した。
1. マレーシアの地理•人口等について略説した。
2. マレーシアのらいに関する歴史的背景について簡単に説明した。現在(1989年)のらい患者は5723人で,いずれも治療中のものである。ダプソンの時代以前は,患者は全国的に散在しており,一部は特別なコロニーに隔離されていた。
3. マレーシアでなされている現在のらいのコントロール•プログラムの一端を紹介した。
4. らいコントロール•センターの活動状況を説明し,これまでの実績を述べた。
5. WHOのMDT (multiple drug therapy)が1985年からマレーシアに導入された。治療を有効にするために,NLCC (National Leprosy Control Centre)変法を用いている。Paucibacilli患者の場合は,毎年BIを調べて,5年間観察している。Multibacilli患者の場合は,3週間入院させて集中治療をおこなった後,退院させて自宅で維持治療をやっている。その間,1月に1回Skin Clinicに来させるか,Mobile Clinicが自宅に往診している。MDT開始後3年またはBIが陰性になってから,5∼10年のmono-therapyに切り換えている。再燃の場合は,5年間のMDTをおこなっている。
6. MDTの成果は,1) DDS耐性の減少,2)らい反応,例えばENLの減少,3) preva- lence率の減少,4) NLCC入院患者の減少,5) 治療中断患者の減少等にみられる。
7. MDTに関して次のような問題がある。1)サバ州やサラワク州のまだ貧しい地区で治療中断患者が多い,2) まだ開発の進んでいない州で治療スタッフが不足している,3) 検査設備が不備なヘルスセンターがある,4) リファンピシン,クロファジミン,エチオナミドの副作用が観察されている,5) 患者がDDSのmono-therapyからMDTへの変更を拒否する場合がある。
8. マレーシアにおけるらい患者の検出,診断,治療および経過観察の現状を,いろいろな患者の場合について例示した。
9. らいの実態調査の方法を簡単に述べた。
10. らいの疫学的調査をとにし,その有病率の変化等について図示し,解説を加えた。
11. らいの研究面-臨床検査の実態一について概説した。
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