サツマイモデンプンを用いて,水分含量,温度,時間を変えていわゆる湿熱処理を行い,処理デンプンの性質をVI粘度計による粘度図と温度図,およびX線回折計による回折図から調べ,次のような事実を明らかにした.
(1) 処理時のデンプンの水分含量を一定にすると,処理デンプンの性質の変化は処理温度が高いほど,また時間が長いほどよく進む.
(2) 温度と時間を一定にすると,変化はデンプンの水分含量に依存し,10%以下の水分ではかなり激しい条件でも変化がみられない.
(3) 25%水分のデンプンを120°-30分処理すると, X線回折図にはじめてあきらかな変化がみとめられるが,のり化の際の粘度図と温度図にはこれよりもゆるやかな条件ですでに変化がみられる.またこれよりも激しい処理をすると,のり化の性質は順次変るが, X線回折図では工20°-720分まで処理しても120°-30分処理のもの以上の変化が認められない.
(4) デンプンけんだく液を50°に5日間保つと粘度図にはほとんど変化がみられないが,温度図にははっきりとした変化がみとめられる.
(5) 湿熱処理したサツマイモデンプンの粘度図,温度図, X線回折図はいずれも種実デンプンのものに近くなる.
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