ウラミスジシジミの核型には,2n,42,n,21と2n,44,n,22の2型があり,2n,43,n,21(M1),n,21,n,22(M2)は両者の交雑によるものであろう.2n,44,n,22を含む個体群は,ウラナミアカシジミ,ミズイロオナガシジミ等と混棲し,個体密度が高く,青森県津軽地方と三沢市に見られ,津軽地方では1980年代に絶滅したと考えられるが三沢地方では生存している.2n,42,n,21の核型は大型マーカーとなる染色体をそれぞれ2対4本又は2個を含み,2n,44,n,22の方は2本と1個である.2n,44の核型は2n,42の4本のマーカーのうち1対が2本ずつに切断されて生じたものではなかろうか.また,アベウラミスジシジミは2n,42,n,21であるが同様に4本と2個のマーカーをふくむ.しかしこれらのマーカーはウラミスジシジミより少し小さい.ウラミスジシジミのマーカーにはC-ヘテロクロマチンが含まれ高頻度反復DNAの増加が考えられ,その分大型になったと考えられる.
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