1980年より1990年の11年間の気管切開術を行った進行性神経疾患は男性12例, 女性4例であった。その内訳は, オリーブ橋小脳変性症 (OPCA) が4例, パーキンソン病3例, 進行性核上性麻痺 (PSP) 3例, 線状体黒質変性症2例, ジョセブ病1例, その他3例であった。気管切開術の原因は, 喀痰喀出困難が7例, 嚥下障害および嚥下性肺炎が6例, 声門開大障害が2例, 舌根沈下が1例であった。気管切開孔の術後管理を主に気管カニューレで行ったものは7例, 気管T-チューブが7例, ボタン型気管カニューレが2例であった。追跡調査が可能であうた12例中術後2年以上生存例は4例であり, 内訳はPSPが2例, OPCAが1例, その他が1例であった。音声機能の保持や術後管理の負担を軽減する対策を考える必要がある。進行性神経疾患では肺炎死亡は少なくないので, 最終的には喉頭摘出術や喉頭閉鎖術などが必要となるが, 多少でも音声機能がある場合には, 音声を確保した気道管理が必要である。
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