本研究では,圧雪路面に作製した窪みに駆動輪を嵌入させて発進させる車両発進試験を実施し,各種車両のスタックの発生と回避の境界となる圧雪窪みの深さ(スタック発生窪み深さdsp)を評価した.大型トラックと連結車については別の車両発進試験を実施し,スタック発生メカニズムを解明した.これらの結果を基に,最もスタックし易い車両がスタックしない上限の圧雪厚さ(スタック回避上限圧雪厚さHsmax)について検討した.
その結果,以下の知見を得た.dspは4WD駆動の乗用車と連結車が大きく,FR駆動の2 tトラックが最も小さい.車両への載荷はdspを増大させた.大型トラック,連結車,2 tトラックに限られるが,dspは駆動輪の荷重とともに増大した.また,駆動輪の外径とともに線形的に増大した.大型トラックにおいて中軸の駆動輪のみが圧雪窪みに落ちたことが著しくdspを低下させるとは限らない.連結車はセミトレーラーのタイヤが圧雪窪みに嵌ると著しくdspが小さくなる.
本研究によりHsmaxを定めることが可能になる.Hsmaxはより適切な予防的通行止めと早期除雪を実施するための指標としての活用が期待される.
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