水田地帯に出現する大型甲殻類には, 鯉脚類のカイエビ類, ホウネンエビ, カブトエビ類, 並びに軟甲類のエビ・カニ類など合わせて10数種が挙げられる。これらは生態特性から便宜上, 水田内で繁殖するもの, 小溝・水路で繁殖するもの, 水田地帯に一時的に侵入するものに大きく3区分できる。調査に際しては, まずその目的を明確にしておくことが最重要であり, また予備調査は欠かせない。定性調査ではサーバーネット, タモ網, モンドリなど可能な限り多様な漁具・漁法を駆使し, 定量調査ではコドラートや流下物採集ネットなどを使用する。なお, 採集用ネット, コドラート等の形状は, 水田や小溝等の特殊性を考慮して工夫する必要がある。甲殻類は, 概して夜行性の種が多いため, 夜間調査が有効であると思われる。
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