著者らは,井芦の上部もしくは左右いずれかに洗浄水の湧き出し蔀を持ち,下部にもしくは左右反対側に汚染水の回収部を持たせた
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型井戸素子を提案している.
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型井戸は,通気部を合めた汚染域の洗浄及び洗い出した汚染水の回収を行うことができる.これまでの室内モデル実験結果を踏まえて,本論では,六価クロムによる地下水汚染現場において汚染水の揚水(回収)井戸に近接して清水の酒養井戸を浅層に設け,本来の
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井戸の機能を持たせながら現場状況に合わせた2本の井戸による擬似
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方式により,
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型井戸の実用機能試験を行った.
井戸の設置場所が汚染源から少し離さざるを得なかったにも拘らず酒養開始当初に通気帯の残留六価クロムの洗い出しによる効果が確認された.このことは本来の汚染源で
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方式を稼動させることができるならば洗浄効果は十分期待できることを示している.
付加的に,上流側から清水を酒養し下流側の回収井戸と組み合わせる水攻法も行った.ブラッシングでもあるが汚染源の上流部側方の酒養井戸による清水の水ぜめにより汚染物質を広範囲に追い出す目的で行い,その効果を確認することができた.
約6ヶ月,問にわたり単独揚水,疑似
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方式および水攻法を行った結果,約1.8kgの六価クロムを回収除去することができた.
今回の結果は,長期的な濃度低減などの効果や物質収支の把握までは至らなかったが,室内模擬実験に始まった一連の
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方式浄化素子の実現を一歩近づけたものと位置づけることができる.不飽和域から飽和域にかけて連続する汚染に対して,より効果的な原位置浄化手法を確立するために,
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方式の基本性能確認や三次元数値解析などへ進む基本的成果が得られた.
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