調製条件を変化させたウメ
リキュール
と,ウメの代わりにクエン酸を用いたクエン酸
リキュール
とを調製し,スクロースの転化について比較検討した.
(1) 常温ウメ
リキュール
中での転化は,ウメインベルターゼの作用による割合が酸による割合より勝っていた.即ち,ウメ
リキュール
のpH3.0付近,エタノール濃度35~20%,常温放置という条件は,最適pH3.0のウメインベルターゼが作用出来る環境であり,常温ウメ
リキュール
における転化は,約80%がインベルターゼによる転化,約20%が酸による転化であると推定された.
(2) 60℃に加熱して作る,即席ウメ
リキュール
においては,インベルターゼは失活し,クエン酸等による酸と熱の効果で進行した.転化率から見て,36時間加熱の効果は,常温貯蔵約35日に相当した.
(3) インベルターゼを含まない系(クエン酸
リキュール
)において,常温での転化がウメ
リキュール
中のそれに匹敵する速さで進行するためには,10倍の水素イオン濃度すなわち約pH2であることが必要であった.
(4)
リキュール
として漬け込む前の,ウメのインベルターゼ活性は,1.6×10-1μmol/g・minであった.即席
リキュール
調製条件の60℃にて,12時間以上,予め加熱したウメでは活性は失われていたが,6時間の加熱では,約10%の活性が残っていた.
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