劇症肝炎・急性肝不全に対する持続的血液透析濾過の有用性については広く周知の所であるが, 今回慢性および反復性脳症を呈する5例の肝硬変合併血液透析患者に維持血液透析濾過を行い, その効果につき検討した. 通常の週3回の維持血液透析から維持血液透析濾過に変更することにより慢性および反復性脳症は全例消失ないし著減した. 血中アンモニア濃度も正常あるいは軽度高値で推移し, 血中アルブミン濃度は全例3.5g/dlを保持した. フィッシャー比は全例上昇した. また, 全身状態の改善に伴って生活の質 (QOL) の向上が得られた. 以上より, 肝硬変合併透析患者に対する維持透析濾過の応用は延命のみならずQOLの向上に有用である.
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