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クエリ検索: "レッサーパンダ"
65件中 1-20の結果を表示しています
  • 佐藤 淳, Wolsan Mieczyslaw
    哺乳類科学
    2012年 52 巻 1 号 23-40
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/18
    ジャーナル フリー
    レッサーパンダ
    Ailurus fulgensはジャイアントパンダと共に食肉目Carnivoraの中で高度な草食適応を果たした種である.1825年の分類学的記載以来,約190年もの間,他の食肉類との進化的類縁関係は謎であった.本総説では
    レッサーパンダ
    の進化的由来に関するこれまでの分子系統学的研究を振り返り最新の知見を提供する.近年の主に核遺伝子を利用した分子系統学的研究においては,
    レッサーパンダ
    はイタチ上科Musteloideaの主要な系統であり,イタチ科Mustelidaeとアライグマ科Procyonidaeから構成される系統に近縁であることが強く支持されている.また,分岐年代推定により
    レッサーパンダ
    の系統の起源は約3,000万年前にあると推定された.さらに生物地理学的解析により,その起源はアジアにあることが示唆された.
    レッサーパンダ
    の系統分化は始新世から漸新世にかけての大規模な地球環境変動の影響を受けたと考えられる.
  • 稲葉 智之, 高橋 和明
    日本野生動物医学会誌
    1996年 1 巻 2 号 87-92
    発行日: 1996年
    公開日: 2018/05/05
    ジャーナル フリー
    ジャイアントパンダの疑似母指は"パンダの親指"として有名であるが,
    レッサーパンダ
    の疑似母指骨格に関する報告はほとんどみられない。本報告では2例の
    レッサーパンダ
    を用いて, 主要骨格の所見ならびに手根部骨格のひとつである橈側種子骨の形態とそれに付着する筋肉などについて調べた。手根部骨格は, 他の食肉目と同様に7種の骨からできており, 中間橈側手根骨の外側には1個または2個の種子骨がみられた。この橈側種子骨は第一中手骨の2分の1程度の長さがあった。2例から橈側種子骨の発生過程を考察すると, 初めから大きな種子骨ができるのではなく, 2種類の筋肉内で各々に発生, 成長した種子骨が合体して形成されると考えられた。橈側種子骨には, 短第一指外転筋と短第一指屈筋ならびに長第一指外転筋が付着していた。また, 橈側種子骨の外側を固定する靱帯としては, 手根種子骨外側靱帯と中手種子骨背側靱帯があり, 手掌側を固定する靱帯として手根横断靱帯と手根種子骨手掌靱帯が認められた。
    レッサーパンダ
    の橈側種子骨は, ジャイアントパンダと同じように疑似母指として機能可能な運動性を有することが示唆された。
  • 小谷 猛夫, 城 美香, 小田切 美晴, 榊原 義之, 堀内 貞治
    日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
    1989年 51 巻 6 号 1263-1266
    発行日: 1989/12/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    イヌジステンパーウイルスに感染した5頭のレッザーパンダを病理学的に検索した. 気管支・肺胞・食道・胃・小腸・胆管・膵管・尿細管・腎孟・膀胱・精巣上体・子宮の各上皮細胞, 脾臓・リンパ節のリンパ球, 細網細胞の細胞質内及び核内に好酸性封入体形成を認めた.
  • 板倉 智敏, 中村 菊保, 中塚 順子, 五藤 精知
    日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
    1979年 41 巻 5 号 561-566
    発行日: 1979/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    犬ジステンパー(CD)生ワクチンを接種された3頭の
    レッサーパンダ
    が, 定型的なCD症状と病変を示した. 特微病変は, 上皮細胞, 細網内皮細胞における酸好性細胞質ならびに核内封入体形成と, リンパ組織からの著明なリンパ球減数であった. 電顕下で, 細胞質封入体はnucleocapsidから構成されていた. 以上の所見は, 本動物がCDに対し高い感受性を持つこと, CD予防に際し生ワクチン使用は極めて危険であることを示唆する.
  • 佐藤 淳
    哺乳類科学
    2012年 52 巻 2 号 253-255
    発行日: 2012年
    公開日: 2013/02/06
    ジャーナル フリー
  • *松村 秋芳, 藤野 健
    霊長類研究 Supplement
    2007年 23 巻 P-58
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/30
    会議録・要旨集 フリー
     二足行動をする哺乳類に関する情報は、直立二足歩行の進化を理解するためのヒントを与えてくれる。このような観点から、
    レッサーパンダ
    (Ailurus fulgens)の日常行動を観察した。成獣雌雄各1個体(千葉市動物公園)について、日常行動を観察するとともに自発的に行なう二足起立行動(6試行)、二足起立食餌行動(4試行)、木登り行動

    (2試行)、懸垂行動(2試行)のビデオ画像の分析を行った。
    レッサーパンダ
    が二足で立ち上がる過程では、上体を起こしながら股関節と膝関節を伸展させる。十分な二足立位姿勢をとったときの股関節角度は146°、膝関節角度は148°と比較的大きかった。懸垂行動時には、両下肢は下垂しつつバランスをとる。二足行動および懸垂行動をとる頻度は、いずれも雄個体が高かった。観察の結果から、自発的な二足起立行動は、懸垂行動時における下肢の筋神経のコントロールと密接に関連している可能性が示唆された。さらに、この動物が自発的に二足歩行しないのは、類人猿に見られるような左右の腕を交替させて前進するブラキエーションを行なえないことと関連しているものと推測された。
    レッサーパンダ
    は、枝を片手で把握できる手の構造を遺伝的に持たないため、類人猿型のブラキエーションは発達し得ず、鉤爪に依存した木登りや懸垂行動を発達させた。ヒトの祖先の類人猿では、ブラキエーションに伴って、下肢を左右交替で運ぶ神経コントロールへの適応が行なわれ、地上に降りた後のストライド歩行の発達に関与したと考えられる。二足起立行動を行なう動機として、頭部の感覚器の位置を高くすることで視覚、嗅覚、聴覚による外部環境情報を得やすくすること、他者へのアピール、オペラント条件づけの関与等が考えられる。その背景には、樹上行動によって獲得された二足起立にかかわる神経、筋機能の存在が想定される。生育環境によって、動機に関与する外部環境情報や身体機能のうちの何らかの条件が欠けると、二足起立行動が誘発されにくくなるであろう。これが二足起立行動の頻度に個体差を生じさせる要因となる可能性がある。
  • *松村 秋芳, *藤野 健
    霊長類研究 Supplement
    2007年 23 巻
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/30
    会議録・要旨集 フリー
     直立二足歩行は、ヒトとほかの哺乳動物を隔てる重要な特徴である。二足歩行能の獲得過程の究明は、ヒトの進化を考える上で重要な課題のひとつと考えられる。これまでの研究ではブラキエーション仮説、木登り仮説などが提唱されてきたが、二足歩行が獲得された要因について実際のところは明らかになっていない。
     多くの動物種では行動のレパートリーとして二足行動をもつ。霊長類では祖先から引き継いだこの性質が、樹上適応放散を機にブラキエーションや木登りと複合することになった。したがって、一般哺乳類の二足行動について知ることは、霊長類の運動適応の特徴を明らかにすることにもつながる。
    レッサーパンダ
    (Ailurus fulgens)は、日常行動において自発的にしばしば二足起立姿勢をとるので、二足性の進化を探るためのモデル動物として適当である。その起立行動はこの動物がしばしば行なう木登りやブラキエーション様の行動と関連しており、類人猿段階の前適応と類似した行動様式形成のメカニズムが働いていると想定すると理解しやすい。
     しかし、
    レッサーパンダ
    は通常二足起立姿勢をとるのみで歩行は行なわない。一方テナガザルやチンパンジーなどの樹上性の類人猿は地上の二足歩行ができる。これらの類人猿と
    レッサーパンダ
    の樹上行動の大きな違いは、左右の腕を交替させて枝から枝へブラキエーションによる移動を行なうか否かである。二足歩行能の起源と進化を探る鍵はここに隠されている可能性がある。ブラキエーションによる移動運動では、上肢ばかりでなく下肢や体幹をコントロールする筋の機能や神経回路、さらに筋の機能と運動の様式に対応した骨格の形態が存在することが予測される。
     今回の自由集会では、われわれが上記のような考えに至った過程を概説するとともに、先行研究やこれまでに行なってきた実験結果について再考する。さらに、ここに示した考え方に妥当性があるか、今後どのように検証していくかについて議論したい。
    < 演者>
    藤野健(東京都老人総合研究所)、熊倉博雄(大阪大学大学院人間科学研究科)、中野良彦(大阪大学大学院人間科学研究科)、松村秋芳(防衛医科大学校生物学科)
    < コメンテーター>
    平崎鋭矢(大阪大学大学院人間科学研究科)
  • 岡部 光太, 高木 直子, 佐藤 元治, 塩田 幸弘, 田中 正之
    日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌
    2015年 51 巻 1 号 59-
    発行日: 2015/03/25
    公開日: 2017/02/06
    ジャーナル フリー
  • 江村 正一, 奥村 年彦, 陳 華岳
    哺乳類科学
    2009年 49 巻 1 号 37-43
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/07/16
    ジャーナル フリー
    レッサーパンダ
    の舌表面を肉眼にて観察し,さらに舌乳頭およびその結合織芯を走査型電子顕微鏡で観察した.肉眼所見では,舌の先端は円く弓状を呈し,舌正中溝および舌隆起は観察されなかった.茸状乳頭は舌体に比し舌尖において密に存在した.有郭乳頭は,舌体後部において円形を呈し,V字形に並んで左右それぞれ5個観察された.葉状乳頭は観察されなかった.走査型電子顕微鏡により舌尖および舌体の糸状乳頭を観察すると,シャベル状の主乳頭とその左右から突き出た数本の針状の二次乳頭からなった.糸状乳頭の結合織芯の形態は,基部から多くの小突起がでる構造として観察され,舌尖と舌体とで異なった.すなわち,舌尖の結合織芯は舌体のやや小型であり,舌尖の中でも外側の方が内側より細く針状構造を呈した.茸状乳頭はそれら糸状乳頭の間にドーム状構造として散見され,舌体より舌尖に多かった.茸状乳頭の結合織芯は,円柱状を呈しその頂上には陥凹が存在した.有郭乳頭の表面は平坦で,乳頭は輪状郭により取り囲まれ,乳頭と輪状郭の間に輪状溝が存在した.有郭乳頭の結合織芯は,球状で表面には多数の突起が存在した.有郭乳頭の外側には,大型の円錐乳頭が見られるとともに多数の分泌腺の開口部が観察された.このような開口部は上皮を剥離するとより顕著となった.
  • 江村 正一, 阿閉 泰郎, 陳 華岳
    形態・機能
    2010年 9 巻 1 号 13-16
    発行日: 2010年
    公開日: 2015/11/18
    ジャーナル フリー
    17種類の哺乳類の喉頭蓋を観察し次の5つの型に分類できた。Ⅰ型:喉頭蓋の上縁が弓状のもの(ケープハイラックス、マレーセンザンコウ、タヌキ、ニホンカモシカ、ヌートリア、ニホンザル)、Ⅱ型:喉頭蓋の先端が尖った三角形を呈するもの(マーラ、
    レッサーパンダ
    、チョウセンイタチ、ハクビシン、アライグマ、アブラコウモリ、コモンツパイ)、Ⅲ型:喉頭蓋の正中部に小突起が見られるもの(ホンドギツネ、ジャワオオコウモリ)、Ⅳ型:喉頭蓋の正中部に長い突起が見られるもの(ジャワマメジカ)、Ⅴ型:喉頭蓋の正中部が2分しているもの(カピバラ)。
  • 川瀬 啓祐, 椎原 春一
    日本野生動物医学会誌
    2018年 23 巻 3 号 65-70
    発行日: 2018/09/28
    公開日: 2018/12/05
    ジャーナル フリー

     大牟田市動物園では飼育管理の一部として多くの動物種を対象に体重測定,検温や採血に対してハズバンダリートレーニングを取り入れている。ハズバンダリートレーニングを取り入れることによって,これまで診察および検査に機械的保定や化学的保定が必要であった霊長類や大型ネコ科動物などにそれらの保定を行うことなく,行動的保定により採血などを行うことが可能になった。 採血により得られた血液検査値は,他園と共有することでデータの蓄積を行い,健康管理に役立てている。また,一部の動物では人工採精のトレーニングも取り入れており,動物園動物の繁殖にも寄与できる可能性がある。また,定期的な採血が可能となれば,薬剤成分の血中動態も把握することが可能であり,今後の獣医療の発展に寄与できるであろう。ハズバンダリートレーニングを取り入れると多くの知見を得る機会が増える。そういった知見をもとに多くの園館や大学との研究機関と連携,協力することが可能となれば,今後の動物園での研究や獣医療が大きく進展するだろう。

  • −札幌市円山動物園アジアゾーンの新築計画−
    片山 めぐみ, 相内 進, 向井 猛, 柴田 千賀子, 白石 将也
    日本建築学会技術報告集
    2014年 20 巻 44 号 225-230
    発行日: 2014/02/20
    公開日: 2014/02/20
    ジャーナル フリー
    We report on the design aspects and process of the Asia Zone of Sapporo Maruyama Zoo opened in December 2012, and in particular, focusing on the snowy cold region. We accumulated the zoological design perspectives and experiences since the beginning of the Maruyama Zoo restart project started from 2006. The project was advanced through creating a design guidebook for the zoological exhibition that promotes compassion towards animals and anticipation upon meeting them. The ideas of breeding staffs on the design were reflected to draw the characteristic behavior of animals.
  • サイエンスウィンドウ編集部
    サイエンスウィンドウ
    2011年 5 巻 2 号 1-36
    発行日: 2011/06/01
    公開日: 2019/04/11
    解説誌・一般情報誌 オープンアクセス

    サイエンスウィンドウ2011初夏号の冊子体一式(PDF版)およびHTML版は下記のURLで閲覧できます。

    https://sciencewindow.jst.go.jp/backnumbers/detail/54

    目次

    【特集】 上手に泳ぐってどういうこと?

    p.06 「水泳の奥深さを知ってほしい」(鈴木大地)

    p.08 水の世界を感じながら泳いでみよう

    p.12 泳ぎもロボットづくりも生き物が教えてくれる

    p.15 「“ 泳ぎ” から見える生命力」(新江ノ島水族館)

    p.16 「競技用水着の進化と科学技術」(山本化学工業)

    p.18 「着衣泳」を授業で実践してみよう

    p.19 水泳に関する「この夏の耳より情報」

    【緊急特集】 この震災が理科教育に問うもの

    p.26 被災地で先生たちが見たこと考えたこと

    p.30 阪神・淡路大震災後の防災教育

    p.32 緊急座談会 ―― 理科を教える先生への期待高まる

    p.36 被災地にて ―― 20 歳の自分に誓う兄弟

    【連載】

    p.02 似姿違質:ニホンザリガニ VS アメリカザリガニ

    p.20 いにしえの心:日本泳法

    p.21 タイムワープ夢飛翔:三陸大津波/忘れたころにやって来る

    p.22 動物たちのないしょの話:

    レッサーパンダ
    (愛媛県立とべ動物園)

    p.24 人と大地:宮城県石巻市/三陸海岸

    p.34 せんせいクラブ

  • *ベ ジンソク
    日本デザイン学会研究発表大会概要集
    2021年 68 巻 P1-12
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/23
    会議録・要旨集 フリー

    秋田公立美術大学と秋田市大森山動物園による共同プロジェクトを2015 年度から行っている。このプロジェクトは、動物園をギャラリーに見立て、同大学生が中心となり「動物園」をテーマに、動物をモチーフに制作した作品を展示するものである。本報告では、2018年から秋田市大森山動物園が位置している新屋地区に大森山動物園の案内サインを設置している。2018年大森山動物園の最寄り駅新屋地区の交通機関の起点となる新屋駅駅舎のホーム側に案内サインを設置した。2019年第二段階として、国道13号の交番にキリンをメインにした動物が車で通る人々や街を歩いている人に新屋の街に大森山動物園があることを印象づけるデザインにした。2020年第三段階として、新屋地区の観光名所ガラス工房と動物園のつなぐ案内サインをそれぞれ設置したのでその成果を報告する。

  • 斉藤 昌宏
    森林野生動物研究会誌
    1996年 22 巻 43-47
    発行日: 1996年
    公開日: 2017/10/03
    ジャーナル フリー
  • 萩原 正剛, 三好 龍治, 吉村 暢洋, 横田 誠, 福山 宏, 和田 信, 舩越 啓右
    九州歯科学会総会抄録プログラム
    2001年 kds61 巻
    発行日: 2001/05/26
    公開日: 2017/11/23
    会議録・要旨集 フリー
  • 栗原 えりこ, 粟野 秀慈, 山本 英理, 安細 敏弘, 竹原 直道
    九州歯科学会総会抄録プログラム
    2001年 kds61 巻
    発行日: 2001/05/26
    公開日: 2017/11/23
    会議録・要旨集 フリー
  • 内田 木野実, 小針 大助
    日本家畜管理学会誌・応用動物行動学会誌
    2014年 50 巻 1 号 48-
    発行日: 2014/03/25
    公開日: 2017/02/06
    ジャーナル フリー
  • *藤野 健
    霊長類研究 Supplement
    2007年 23 巻 P-55
    発行日: 2007年
    公開日: 2009/05/30
    会議録・要旨集 フリー
    【はじめに】立位を安定的に取り得る哺乳類が知られるが、殆どは極く短時間を除き自発的な歩行はしない。ヒトの祖先が如何に二足歩行を開始したのか、どの様なlocomotor habitat 或いはpositional behavior がその前適応として必要だったのかを考察する場では、この様な「立つ」と「歩く」の違いは何か、そしてこの違いをもたらす形態・機能的要因は何かを解明する事は有意義と考えられるが、この視点での研究は進んでいない。今回、シロテテナガザル及び
    レッサーパンダ
    の動作をビデオ撮影し、骨格形状と併せ、ヒトの二足歩行能獲得に関するブラキエーション仮説を再検討したので報告する。
    【材料と方法】高知県下の或る動物園にて2種をハイビジョン撮影し、レッサーの立位及び懸垂動作についてはTV放映された映像を参考にした。また2種の全身骨格像を参考にした。
    【結果】テナガザルは活発なブラキエーション(腕渡り)の合間、時々地面に降り立って二足歩行を行う。ロープ渡りでは、姿勢を立てて前肢を交互に進めて上のロープをたぐり、後肢で二足歩行をして下のロープを渡る。一方レッサーは滑らかな動作で木登りを頻繁に行い、自発的に立位を取るが歩かない。懸垂(静的ぶら下がり)も行い、前肢の伸展度は高いが腕渡りは観察されない。
    【考察】2つの動物の樹上並びに平坦地での動作性状の比較から、腕渡りvs.懸垂姿勢、二足歩行vs. 静止立位なる対位的、動静の組み合わせで1つの理解が可能である。この対比概念と骨格像の比較から、ヒト型 bipedalism がそもそも「前肢の歩行」であるまさに腕渡りに同期しての「下半身」の運動様式に由来することが強く示唆され、腕渡りに伴う胸郭並びに骨盤の、他に類例のない、体長軸周囲に関する左右交互の回転運動、並びに胸郭と骨盤の横幅の拡大こそがヒト型「歩く」の前適応条件であると考えた。
  • 坂東 元
    野外教育研究
    2009年 13 巻 1 号 1-7
    発行日: 2009年
    公開日: 2018/12/29
    ジャーナル フリー
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