クロムを含有する水試料の前処理法の比較として回収試験を行い,クロムの揮散損失のない分解法についての検討を行った.JIS K 0102の湿式分解法について,各々3回ずつ併行測定を実施し,その分析結果より以下のことが分かった.塩酸を用いた場合,濃縮乾固まで前処理を行うとクロムの揮散損失が見られ,過塩素酸を用いた場合は,クロムの揮散損失が著しかった.そして,硝酸を用いた場合には,クロムの揮散損失はなく,硫酸を用いた場合は,クロムの揮散損失を抑制することが分かった.又,過酸化水素水を用いた分解では,硝酸で分解した場合と同様の結果が得られた.
抄録全体を表示